持続可能なカカオ農業を目指して

株式会社 明治 技術部土居 恵規

Q.世界では、この10年間で20%も需要が伸びているチョコレート。しかし、原料となるカカオ豆の収穫量は10%しか増加しておらず、その在庫率も低下していると言います。なぜなのでしょうか?

A.カカオの栽培は、天候や病虫害の影響を受けやすく、木の高齢化も進んでいるため、簡単に収穫量を増やすことはできません。その上、農家は様々な問題を抱えています。栽培に必要な苗木・肥料、農薬が手に入りにくいこと、栽培から収穫できるようになるまで3~4年かかる上、収穫後も発酵・乾燥といった手間暇がかかること、またその技術や知識が十分に広まっていないことなど、増え続ける需要に農家が応えるのは容易ではありません。

取り組みの背景

出典:ICCO(The International Cocoa Organization)資料をもとに当社作成

Q.私たちにとって、チョコレートはとても身近な食べ物ですが、農家の方の苦労あってこそできるものなのですね。(株)明治にもチョコレートを使った製品がたくさんありますが、その原料となるカカオ豆は、どこからやってきているのですか?

A.私たちが購入するカカオ豆の大半は、ガーナ産です。創業以来、豆にこだわり続けてきた私たちは、カカオトレーダーや農家支援のNPOなどと協力して、産地を指定し購入する“トレーサブルカカオ”の仕組みを作り上げました。また、ガーナ産以外にも中南米産のカカオ豆も購入していて、さまざまな農家支援をしています。

Q.確かに、最近は”レインフォレスト”など“○○認証”と言われる食べ物をよく見かけるようになりました。

A.そうですね。第三者機関による認証を得る方法もありますが、私たちはあくまでも自分の足を運んで、自分の目で確かめ、現地の方々とコミュニケーションをとることが何よりも大事だと考えています。そこで10年ほど前からガーナ各地を回る“メイジ・カカオ・サポート”というプログラムを始め、その一環として収穫された豆を通常よりも高い価格で買取る体制づくりをしました。そこで割り増されたお金は、栽培技術や病虫害について農家の方が学ぶ機会を設けたり、苗木の供給センターの設置・運営などに使っています。

Q.上記取り組みも含め(株)明治が取り組んでいる“メイジ・カカオ・サポート”は農家のためになっているのでしょうか?

A.“メイジ・カカオ・サポート”では、豆の栽培・収穫以外の面でも、生産に関わる人々の生活の向上につながる取り組みを行っています。マラリア予防のための蚊帳を寄贈したり、村に井戸を掘ったり・・・・・現地で井戸の周りに人が集まり、コミュニティの中心になっている様子を見るととても嬉しくなります。

明治グループが目指すもの カカオ豆に関わる全ての人を笑顔にする

Q.“メイジ・カカオ・サポート”は笑顔を運ぶ取り組みなんですね!
その他にも活動をされてるそうですが特に力を入れてる取り組みはありますか?

A.子供たちを対象にした、アートイベントですね。これまでアートに触れる機会のなかった彼らが、カカオの絵を描くなどのイベントを通じて想像力を育むきっかけになればと考え、始めました。国の将来、カカオの将来は子どもたちにかかっているという想いは、ODA(政府開発援助)を活用した小学校の建設支援、机や椅子といった備品の寄贈といった取り組みの源泉でもあります。

アートイベントで作ったハウスを抱える子どもたち

Q.実際に現地(ガーナ)を訪れた土居さんにとって、印象的なエピソードなどがあれば教えてください。

A.現地の開発責任者である“ディベロップメント・チーフ”に任命されたことです。チーフ制度は西アフリカの伝統的な社会制度で、外国人がチーフに任命されることはめったにありません。ガーナでもチーフは絶対的な尊敬を集める存在で、村の発展という結果、実績が求められます。責任を果たすべく、継続して村の発展に貢献していく覚悟です。

Q.農家の方とのコミュニケーションあってこそ、築かれた信頼やパートナーシップといえますね。では最後に、農家の方と共にカカオ豆の今後を担う、土居さんの“想い”をお願いします。

A.農家の収入が増え、現地の人びとがカカオ豆栽培をビジネスとして続けられるように、さまざまな支援をしていきたいです。そのために、現地に足を運び、現地の方と話し合う機会を、これからも大事にしていきたいと思います。

アセワラディ村 首長(チーフ)Nana Abu Bayeeman 氏

(株)明治のこれまでの活動には、とても感謝しています。井戸やアートイベントなど、大人や子どもたちにも非常に喜ばれており、今後も継続していただければと思います。

イーコム・アグロトレード社 オペレーション・マネージャーOnyina ACHEAMPONGS A. GYAMFI 氏

(株)明治の活動は、カカオ農家とガーナにとって大変意義のあるものです。今後も、農家一人一人の生活の向上に直結する取り組みを続けていきたいと思います。

メイジ・カカオ・サポートの活動事例

ファーマーズ・トレーニング・スクール

カカオ農家は、栽培技術・病虫害管理、労働安全、環境保全などについて学ぶことができます。

ヴィレッジ・リソースセンター

2013年設置。パソコンを活用し、大人はカカオの栽培技術を、子どもたちはパソコンスキルを学習できます。

苗木センター

2014年開設。早く収穫でき、病虫害にも強く生産性の高いハイブリッド種の苗木を提供しています。

明治グループCSR報告書2015より