小児用希少疾病用医薬品の開発・販売

Meiji Seika ファルマ
株式会社
臨床開発企画部金井 学
Meiji Seika ファルマ
株式会社
CNS領域部岩水 宏至

Q.「ディアコミット®」は、発症が4万人に1人といわれている小児てんかんの一種“ドラベ症候群”の治療薬です。2007年にヨーロッパで発売が開始されると、その有効性は日本へもすぐに伝わったそうですね。

A.金井 同年に日本で開催された未承認薬使用問題検討会議でも、早期に臨床試験を実施すべきだという結論が出されました。ドラベ症候群は、生後1歳までに発症し、けいれん発作を繰り返して発達にも影響を及ぼす疾患です。当時、国内では適応が認められた薬剤がなかったため、一日も早い本剤の開発と発売が待ち望まれていました。

ディアコミット製品群

Q.Meiji Seika ファルマ(株)では、さっそくその翌年から治験を開始したとのことですが。

A.金井 ドラベ症候群は死に至ることもある重篤な病気で、当社としてもてんかんは初めて取り組む領域だったために、正直、治験を行うには相当な覚悟が求められました。しかし明治グループは、粉ミルクやお菓子などを手がけ、お子さんや親御さん、小児科の先生方にもなじみがありますし、Meiji Seika ファルマ(株)は小児用の抗生物質を多く手掛けてきた会社です。難しい疾患の治療ニーズに貢献する取り組みを私たちの使命とみなし、治験の実施を決めました。

Q.会社としても大きな決断だったのですね。日本での発売が実現するまでは、4年もの年月を要したそうですが、ご苦労は多かったのですか。

A.金井 ディアコミット®の製造元であるフランスの会社に、日本の承認申請は厳格で、詳細な資料が必要であることを理解してもらうだけでも時間がかかりましたね。患者さんの数も少ないですし、専門病院から遠いところにお住まいの患者さんは、薬の市販後にご自宅付近の病院を受診することもふまえ、各地の病院との連携も重要でした。専門の先生方や患者さんのご家族、学校の先生など、周囲の皆さまにお力添えいただき、2012年にようやく発売へこぎつけました。

Q.社外の方の協力があってこそ、といえそうです。発売以降、治療は十分に広まったのですか。

A.岩水 早期の診断と治療が重要なドラベ症候群ですが、希少な疾患のため資料や情報が少なく、医療関係者の間でもまだ十分な認知は得られていない状況です。この病気に苦しむ患者さんに本剤をお役立ていただくためには、情報を蓄積し、それを発信することも私どもの使命だと考えています。

Q.疾患の啓発と治療の普及にも力を入れているということですね。具体的な取り組みを教えてください。

A.岩水 適正使用に向けて、パンフレットなどの製品情報だけでなく、患者さん向けの小冊子やDVDといった様々なツールを使い、疾患の正しい知識や薬の飲み方の情報を発信しています。また、約850名のMeiji Seika ファルマ(株)のMR(医薬情報担当者)と連携して情報を収集し、必要に応じて本剤専門の担当者が全国の医療機関に赴いて情報提供を行っています。

Q.患者さんはもちろん、医療関係者の方にとっても大きな意味のある活動といえそうです。

A.岩水 そうですね。医療関係者から非常に高い評価をいただいており、社会に貢献することができたと実感しています。この病気に苦しむすべての患者さんにとって、ディアコミット®が薬剤選択肢の一つになるよう、関連する学会や患者団体にも協力を求めていきたいですね。

金井 患者さんや医療関係者から感謝の言葉をお聞きすると、本剤の開発・販売に取り組んで本当によかったと思います。

Q.薬剤を通じて、患者さんやそのご家族、医療機関と共に難病と闘っているように感じます。では最後に、そんなお二人の“想い”をお願いします。

A.金井 ディアコミット®を通して得たさまざまな経験を活かし、赤ちゃんからお年寄りまで、全ての人の健康に貢献したいと考えています。

岩水 患者さんの顔を思い浮かべながら、常に患者さんの立場で考え、行動していきたいですね。明治グループの全ての仲間と、同じ気持ちだと思います。

啓発セミナーにドラベ先生が登壇

Meiji Seika ファルマ(株)は、ドラベ症候群を啓発する活動の一環として、2014年10月に開催した日本てんかん学会学術集会に参加しました。同疾患を提唱したシャルロット・ドラベ先生をお招きして、二日間にわたるセミナーを実施しました。延べ500名を超える日本の専門医が参加し、熱心に聴講する様子が見られました。

シャルロット・ドラベ氏

旭川荘療育・医療センター顧問 岡山大学名誉教授大塚 頌子氏

医療関係者も待望していた薬剤

ドラベ症候群の治療では、発症早期からてんかん発作を抑えることが重要です。ディアコミット®発売以前は、あらゆる方法で治療しても十分な効果が得られず、本剤の日本への導入を長年待ち望んでいました。
ドラベ症候群は希少疾患ですので、本剤の開発治験は困難でしたが、Meiji Seika ファルマ(株)は難しい局面でも常に真摯に取り組まれました。発売後も市販後調査などで丁寧に対応してくださり、感謝しています。

疾患の認知・浸透へ向けて

ディアコミット®は高い有効性を示しますが、特徴的な副作用もあり、適切な使用法の追求など今後の取り組みが重要です。正しい知識と情報でドラベ症候群の治療が認知・浸透されるよう、力を貸してほしいと思います。明治グループは特殊ミルクも扱っておられ、社会貢献を重視する会社の精神が感じられます。これからも小児や希少疾患など、市場マーケットが小さくても社会が必要とする分野に貢献していただくことを期待しています。

明治グループCSR報告書2015より