原点は抗生物質事業

Meiji Seika ファルマ
株式会社
臨床開発企画部髙橋 誠
Meiji Seika ファルマ
株式会社
感染・免疫・腫瘍領域部青山 式孝

Q.明治グループの薬品事業はどのように始まったのでしょうか?

A.髙橋 1946年にペニシリンの製造を開始したことがきっかけで、現在のMeiji Seika ファルマ(株)の抗生物質事業が始まりました。ペニシリンは発酵技術を使い製造します。発酵は乳製品やチョコレートなどの製造にも欠かせない技術で、その技術を医薬分野に応用できたからこそペニシリンの製造も出来ました。その後も、結核治療薬「ストレプトマイシン」、海外にも通用する国産初の抗生物質「カナマイシン」を開発しました。そして、今日も広く使われている経口セフェム系抗生物質「メイアクト」の販売を1994年に開始しました。

Q.発酵という技術に着目し応用できたからこそ、現在の薬品事業があるのですね。現在の課題はありますか?

A.髙橋 抗生物質には、薬剤の効果を弱める耐性菌が出現するという問題があります。すなわち抗生物質の開発は耐性菌との闘いとも言えます。そこで、当社は医療関係者と連携した研究会で調査を重ね、メイアクトの耐性菌に対する効果の高さを実証しました。メイアクトは幅広い感染症の標準治療薬として評価されています。

Q.メイアクトは優れた治療薬ですね。耐性菌で苦しむ小児に特化した薬もあるそうですね。

A.髙橋 耐性菌は年々増加するため、従来の治療では困難となるケースもあります。そんな中、中耳炎や副鼻腔炎の重症化が当時子供たちの間で広がっている実態を知り、一日でも早く、病気に苦しむ子供たちを助けるため、小児に特化して適応を取得したのが、世界で唯一の経口カルバペネム系抗生物質「オラペネム」です。

A.青山 肺炎や中耳炎などが重症化すると入院が必要となりますが、オラペネムは飲み薬ですので入院する必要はありません。子どもである患者さんにとっても、ご家族にとっても大きなメリットとなります。

Q.様々なニーズを取り込み、製品化することが大事ですね。これからについてはいかがですか?

A.青山 これまで感染症に取り組んできた永い歴史と実績があるので、当社は感染症に関して国内最大のメーカーとして認知されています。日本は超高齢社会を迎え、高齢者の感染症が増えることも予想できます。耐性菌は国内だけではなく世界規模の問題であり、人だけではなく動物や環境についても同じです。農薬や動物薬も手掛けていますので一つずつ今できることから取り組んで、社会の役に立てる会社でありたいです。

A.髙橋 オラペネムは、小児の耐性菌で困っていた医療現場の声、社会の要請からできた薬です。薬剤のニーズはいつの時代にもあり、終わりはありません。病気に苦しむ患者さんのために、これからも社会の要請に応え、真摯に薬に向き合っていきたいです。

有識者の声 社会貢献企業として期待

Meiji Seika ファルマ(株)の感染症治療薬は、メイアクトやオラペネムを中心に、主要な細菌感染症の原因菌に対して強い抗菌力があり、小児領域では欠かせない薬剤となっています。例えば、メイアクトは症状や重症度に合わせて、増量投与もできる用量設定となっており、このようにきめ細かな対応ができることは、治療上の重要なポイントとなります。またオラペネムは世界唯一のカルバペネム系経口剤で、非常に優れた薬です。中等症の肺炎でも3日で治癒する症例がほとんどで、肺炎の患者さんに対して治療の選択肢が広がりました。この薬のおかげで入院が必要であった中等症以上の患者さんが外来でも治療可能となったことは、医師や患者さん、そしてご家族にとってありがたいことです。昨今、厳しい規制環境や治験条件があり、感染症治療薬の開発が停滞傾向にありますが、貴社の継続した積極的な開発への取り組みと安定的な生産・供給体制には、日頃から感謝しております。子どもの健康と笑顔を守るという重要な役割を担っている貴社には、今後も抗菌薬の適正使用情報を現場に提供し、感染症分野で社会に貢献していただくことを期待しています。

岩田 敏 教授
慶応義塾大学医学部
感染症学教室

明治グループCSR報告書2016より