2022年6月

ドラベ症候群は乳幼児期に発症し、治療が極めて困難な希少なてんかんです。明治グループはドラベ症候群の患者さんを支える取り組みを続けています。

ドラベ症候群は、主に生後1年以内の乳児が発熱をきっかけに発症することのある病気です。従来のてんかん治療薬では有効性が乏しく、確立された治療法はありませんでした。しかし、フランスの製薬会社Biocodex社が発見した抗てんかん薬に効果があることが分かり、日本でも2012年から、明治グループのMeiji Seika ファルマが、この薬剤を販売しています。

乳幼児期に発症する希少疾患“ドラベ症候群”

“てんかん”は、脳の神経細胞の活動が突然乱れ、電気的な障害によって発作が起きる病気です。発症の可能性は赤ちゃんからお年寄りまで誰にでもありますが、その8割は18歳までの子どもで、特に3歳未満がもっとも多いとされています。

“ドラベ症候群”は、中でもまれなタイプのてんかんの一つです。患者の発症率は2〜4万人の出生に1人で、多くは生後1年以内に発熱をきっかけに発症します。治療が極めて困難で、発症から数年間、子どもたちは度重なる入院を余儀なくされます。また幼児期になると、知能や運動能力の発達に遅れが生じる場合もあります。発作は日常生活で触れる光や熱によっても引き起こされるため、ご家族の方々は気が休まる時がありません。そのため、発作が起こらないように抑える薬が必要になります。しかし、以前は十分に発作を抑えられる薬がありませんでした。

日本での発売に向けて

しかし、フランスのBiocodex社が1978年に発見した抗てんかん薬には、ドラベ症候群の発作を抑える効果が確認されました。2007年に欧州で承認・販売されると、次第に日本の医師や、約3,000人と推定される患者から、日本での発売への期待が高まっていきました。

そこで、抗菌薬の製造販売を通じて小児科領域で長い経験を持っていたMeiji Seika ファルマは、日本での承認取得に向けて活動を開始しました。同社は小児での臨床試験の経験や抗不安薬・抗うつ薬などの精神疾患の薬剤について開発のノウハウを持っていましたが、神経疾患である抗てんかん薬の開発は初めてでした。先行する臨床試験を行った日本の医師を探して協力を仰いだ上で治験を進め、2012年、日本での発売が実現しました。

ドラベ症候群をよく知る一部の医師たちは、発売前からこの薬剤に高い関心を寄せていました。しかし、希少疾患であるがゆえに、医療関係者の間でも十分な認知が広がっているとはいえない状況でした。また、同剤には特徴的な副作用もあり、適切な使用法を徹底することが重要です。そこでMeiji Seika ファルマでは、専門のアドバイザーチームを結成し、疾患の啓発と治療方法の普及に取り組んでいます。

製薬会社の独自性が見える、希少疾患への挑戦

製品の発売に至るまでの過程で、Meiji Seika ファルマは臨床試験に参加した患者さんやご家族からの多大なご協力に支えられてきました。患者さんの多くは、それまで有効な治療法がないまま、長年ドラベ症候群と付き合ってきました。あるご家族は、「てんかん発作が起きるたび、週に4回はタクシーで病院に行っていたので、結局車を買うことになりました。しかし、この製品を使うようになってからは、発作で病院に行くことはほとんどなくなりました。」と語っています。

ドラベ症候群のような希少疾患の治療を扱うことは、製薬企業にとって独自性のある挑戦です。患者数の多い生活習慣病のような疾患とは異なり、希少疾患の治療は大きな収益を伴うわけではありません。そのため、企業は医薬品開発のリソースをどの疾患に割り当てるかを厳選しなければならないのです。明治グループの場合、育児用粉ミルクや小児感染症治療薬のメーカーとして、長年にわたり乳幼児の福祉に貢献してきたことから、乳幼児期に発症するドラベ症候群に取り組むことは自然な選択でした。

Meiji Seika ファルマはこれからも、ドラベ症候群の患者さんやご家族と密接な関係を保ちながら、さまざまな病態の把握を進めていきます。また、てんかん専門医からの情報収集にも引き続き力を注ぎ、患者さん一人ひとりに最適な処方を提案できるよう努めていきます。

図:ロゴマーク
この製品では、幸せや幸運を連想させるクローバーをイメージし、患者さん、ご家族、医師の3者が手をつなぐことを象徴しています。