顔写真:高橋 美香

高橋 美香

株式会社 明治
お客様相談部 関東お客様相談センターグループ
赤ちゃん相談責任者

顔写真:北 千晶

北 千晶

株式会社 明治
お客様相談部 関東お客様相談センターグループ
赤ちゃん相談スーパーバイザー

「赤ちゃんがミルクを飲んだあと、泣き止まない」「離乳食を食べてくれない」──。子育てには心配事がつきものです。スマートフォンで検索しても、「うちの子に当てはまるのかがわからない」ということもあるのではないでしょうか。
そんなとき、電話一本で相談できる場所があります。1976年10月に開設された明治の「赤ちゃん相談室」は、管理栄養士・栄養士が、授乳や離乳食、赤ちゃんの発育に関する疑問や悩みに寄り添う相談窓口です。今年で開設50年を迎えました。
相談室の企画・運営に携わる管理栄養士の高橋 美香と北 千晶の話から、「赤ちゃん相談室」が大切にしてきた姿勢と、今の時代だからこその役割をひも解きます。

赤ちゃんと家族に寄り添って50年

「赤ちゃん相談室」が開設されたきっかけは、明治のお客様相談センターに、乳幼児向け商品についての問い合わせが増えてきたことでした。電話で商品についてお話をするうちに、授乳や離乳食、育児そのものの相談になることも少なくありませんでした。そこで、明治が長年の研究で培ってきた乳幼児の発育や栄養の知見を育児支援に活かそうと、「赤ちゃん相談室」がスタートしました。

写真:授乳や離乳食、栄養の悩みに、専門の相談員が耳を傾ける「赤ちゃん相談室」
授乳や離乳食、栄養の悩みに、専門の相談員が耳を傾ける「赤ちゃん相談室」。

「赤ちゃん相談室」では、妊娠中から3歳頃までのお子さまの栄養や育児について、ご家族からの相談をフリーダイヤルで受け付けています。
寄せられる相談の8割を占めるのは、「ミルクを飲まなくなった」「離乳食を食べなくなった」など、授乳の量や飲みムラ、離乳食に関するお悩みです。そのほか、赤ちゃんの体調や発育状況の相談、妊婦さんの栄養に関する相談もあります。

相談を受けるのは、管理栄養士・栄養士の資格を持つ専門の相談員たち。相談者のその日の状況や心情などを踏まえながら、一人一人に寄り添った提案をしています。

写真:赤ちゃんにミルクを飲ませるお母さん
写真:食事を嫌がる赤ちゃん

「栄養のプロ」だからこそ、応えられる

お客様相談の業務全体を統括する高橋が、「赤ちゃん相談室」の最大の強みに挙げるのが、明治が培ってきた栄養の専門性です。

「明治は乳幼児の発育や栄養に関する知見をもとに、長年、乳幼児の健全な成長をサポートしてきました。そのバックボーンがあることは、とても大きなことです。乳幼児の栄養を相談するなら明治だよね、そう思っていただける存在でありたいと思っています」(高橋)

写真:赤ちゃん相談室について語る高橋
「人との対話やつながりが、私の元気の源」という高橋。コミュニケーションを通じて多くの人を栄養面でサポートできたらと考え、明治で管理栄養士の資格を活かす道を選びました。

もう一つの強みが、相談の記録を丁寧に残し、次の相談につなげてきたことです。

「かつては紙のカルテに記録して保管していましたが、今はシステム上で過去の相談履歴を共有しています。前回どんな悩みがあり、その後どう変化したのか。それを踏まえて、誰が電話を受けても相談者の状況に沿った応対ができるようにしています」(高橋)

赤ちゃんの成長とともに、悩みも変わります。成長に即して、継続的に管理栄養士・栄養士が相談者へ寄り添う姿勢は、50年にわたって信頼されてきた理由の一つです。

答えは一つじゃない。だから、一緒に考える

「赤ちゃん相談室」の運営などの総括を務める北は、相談員が代々受け継いできた姿勢があると言います。

一つは、電話の第一声です。
「『お電話ありがとうございます』を、できるだけやわらかく。不安を抱えてかけてこられた方が、安心して話し始められる空気をつくることを、相談員みんなで意識しています」(北)

写真:赤ちゃん相談室について語る北
「学生時代に家族が入院した際、食事の重要性を実感した」と言う北。栄養で誰かの力になりたいと栄養士を志しました。

そしてもう一つが、相談者と一緒に同じ目線で考えることです。
「『こうしてください』と正解を押し付けるのではなく、『こうしてみるのはどうですか?』。最終的には相談者ご自身が選べるように、いくつかの方法をお伝えするようにしています」(北)

月齢ごとのミルクの量や離乳食の進め方には、一定の目安があります。それでも、赤ちゃんの成長も、家庭の状況も、相談者の考え方も、一人一人異なります。栄養の知識を土台にしながら、目の前の相談者に何を、どう伝えるか。マニュアル通りの一問一答ではなく、専門知識をその人に合う形で届けているのです。

涙声が、明るい声に変わるまで

北には、忘れられない相談者がいます。

「『今の月齢ならミルクをこれくらい飲まないといけないとインターネットには書いてあるのに、うちの子は全然飲んでくれない』。そう心配されていました」(北)
自分でいろいろ調べ、試しても、思うようにいかない……。話すうちに、そのお母さんの声はだんだん涙声に変わっていったと、北は振り返ります。

その際、すぐに答えを出そうとはせず、まず詳しく話を聴くことから始めました。「飲まない」の理由は、決して一つではないからです。
「同じ『飲まない』でも、授乳のタイミングや生活リズムを少し変えるだけで、飲むようになることも。だからこそ、『今はどんなふうにあげていますか?』と伺いながら、その方が試せそうなことを一緒に考えていきました」(北)

やりとりを重ねるうち、電話の終わりには「それならやってみます」と、明るい声に。
「お話ししたことで、少し前向きになってくださった」

一人で悩んでいる方のお役に少しでも立てたと実感できて、本当にうれしかったですね。(北)

写真:電話相談に対応する北
北自身もわが子の「食べない」に悩んだ経験が。「相談者の気持ちに、できるだけ寄り添いたい」と話します。

こうした瞬間の喜びは北のみならず、相談員一人一人が日々感じているものであり、ここに「赤ちゃん相談室」の存在意義があると高橋は言います。

「ご相談者のお役に立てたのかもしれないという実感が、私たちのやりがいです。大きな励みにもなっていますね」(高橋)

一つ一つの声が、明治を育てる

電話の向こうの一人一人の力になれるよう、相談員たちは日々学び合っています。
業務の合間には、相談内容や応対の工夫を互いに共有し、月に一度の研修会では、実際の事例をもとに意見を交換しています。

「一つの相談に対し、必ずしも一つの正解があるわけではありません。『自分ならどう話すか』をそれぞれが考え、伝え方や提案の引き出しを増やしています。歴代の相談員が、そうやって応対力を磨いてきたからこそ、『赤ちゃん相談室』は長く信頼されてきたのだと思います」(北)

「赤ちゃん相談室」には、もう一つ、大切な役割があります。育児に向き合う人の声を受け止め、社内へ届けることです。高橋は、ここを「お客さまに接する最前線」だと語ります。

写真:毎月の研修会では相談員が集まって意見交換。事例を基に学び合います。
毎月の研修会では相談員が集まって意見交換。事例を基に学び合います。

「相談のなかには、明治の商品に関する声もあります。例えば、液体ミルクやキューブタイプの粉ミルクについて、『少量を無駄なく使いたい』『もっと開けやすいパッケージだといいのに』といった、日々の育児のなかで感じたことなどです。こうしたお声を真摯に受け止め、社内の関係部署へ広く届けることで、商品やサービスの改善につなげていけたらと考えています」

相談室に寄せられた一つ一つの声が、明治を成長させる力にもなっているのです。

変わらず、そばで支え続けたい

今は、育児の情報をインターネットやSNS、生成AIで簡単に得られる時代です。情報が多いからこそ、「どれが正しいのか」「自分の子に合っているのか」と、かえって迷うことがあるかもしれません。

そんな時代に、電話で相談する意味を、北はこう話します。

「人と人とのつながりだから得られる安心感や、顔が見えないからこそ話せることがあります。声のトーンや話し方から、相談者のその時の心情などをくみ取ります。一緒に考えられるのは、電話ならではです。『どこに相談したらいいだろう』と思ったときに、明治の『赤ちゃん相談室』を思い出していただけるような、子育てをする方たちの心のよりどころでありたいですね」(北)

高橋には、こんな願いもあります。

「一度の相談から、『また電話しよう』と思っていただけたら」

親子2代、3代にわたって長くつながっていけたら、こんなうれしいことはありません。(高橋)

授乳や離乳食のこと、赤ちゃんの栄養のこと。「こんなことを聞いてもいいのかな」と迷うことでも、話してみることで、気持ちが少し軽くなるかもしれません。
「一緒に考えましょう」──。その姿勢を変えることなく、明治の「赤ちゃん相談室」はこれからも、電話の向こうの声に耳を傾け続けます。

※所属・肩書は取材当時のものです。

写真:微笑む高橋と北