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明治グループの粉ミルクは長年にわたり、たくさんの赤ちゃんの成長を支えてきました。しかし、生まれつきの病気で母乳や市販されているミルクを飲めない赤ちゃんがいます。そこで必要となるのが、成分を調整した特殊な粉ミルクです。

私たちは"代謝"という体内の仕組みによって、食べ物をエネルギーなどに替えて生きています。その代謝に不可欠なのが、"酵素"です。

酵素の働きが十分でないと代謝が正常に行われず、成長に支障を来したり、他の病気にかかってしまったりします 。このような赤ちゃんは毎年数万人に1人と数少ないですが、当事者にとっては深刻な問題です。

代謝に異常のある赤ちゃんにとって命綱となるのが、母乳や市販されているミルクの代わりになる、特別な粉ミルクです。明治グループは1980年からこうした乳児の栄養摂取を目的とした特殊な粉ミルクを提供しています。また、早期診断・治療に必要な新生児マススクリーニングを提供し、先天性代謝異常症の赤ちゃんたちの健やかな成長を守ってきました。

写真:
明治グループが提供する特殊ミルク製品ラインアップ

命を守る特殊ミルク

現在、明治グループでは、登録特殊ミルク11品目、登録外特殊ミルク5品目、市販品4品目を製造しています。どれも病気に合わせて成分が調整され、他の方法では栄養を摂取できない子どもたちの健康と成長を支えています。

特殊ミルクは医師を通じて患者さんに無償で提供されます。医師は、新生児検査で代謝異常が分かると社会福祉法人 恩賜財団母子愛育会総合母子保健センターに設置された「特殊ミルク事務局」に特殊ミルクの提供を申請。事務局から連絡を受けた明治グループが工場から医師に発送し、患者家族に無償で渡ります。治療用の特殊ミルクは、先天性代謝異常症などがもたらす致命的な症状を防ぐ役割を持つものであり、その意味で「生命を救う存在」とも言えます。そのため、患者さんと医師の密接な連携が欠かせないのです。

特殊ミルクが患者さんにとってどれほど大事なのか、Glut1異常症患者会の古田 智子氏は次のように話しています。

私たちは、希少難病「グルコーストランスポーター1欠損症」という、先天性代謝異常症の患者家族会です。
株式会社 明治の皆様と当患者会は、「特殊ミルク」という治療用の特別なミルクがご縁で10年前から交流をさせていただいております。当疾患患者には有効な治療薬はなく、食事療法で症状の改善を図っておりますが、その厳格な食事療法に特殊ミルクを活用させていただくことで、患者たちの生活が支えられています。今後も皆さまの応援を糧に健やかに成長する患者たちを見守ってくださいますようお願い致します。

Glut1異常症患者会 古田 智子氏
Glut1異常症患者会
古田 智子 氏
写真:
明治グループの特殊ミルクで育った子どもたちから贈られたメッセージボード。
感謝の言葉があふれています。

安定的な供給の重要性

母乳や市販の粉ミルクで栄養を摂取できない赤ちゃんたち。その生命を守るため、特殊ミルクを欠品させるわけにはいきません。

近年、3つの要因から特殊ミルクの供給量は増加しています。その理由の一つは、2014年4月から新しいマススクリーニング手法が全国で導入され、対象疾患が増えたこと。もう一つは、20歳をすぎると国の補助金対象から外れるものの、患者さんは生涯を通じて厳格な食事療法が必要なこと。そして、登録外の特殊ミルクが年々増加していることです。

安定供給のためには、常に変動する需要への対応力が求められます。明治グループでは、供給側の窓口である特殊ミルク事務局と連携して、スピーディーな出荷と在庫管理を行っています。また、医療関係者とも安定供給や安全管理についてオープンに議論するなど、コミュニケーションしやすい関係を築くことで、患者さんの手元に素早く製品が届くようにしています。

明治グループの特殊ミルクを作るのは、埼玉工場に設けた1本の生産ラインで、年間の製造数は約10万缶に上ります。患者さんがいつでも必要な栄養を摂取できるよう、種類ごとに異なる需要の変動に対応しています。

小児科医の青木 菊麿氏は、実効的で安定したサプライチェーンは先天性代謝異常症の治療において重要だと話します。

1980年以来、厚生労働省の特殊ミルク事業を通じて37年間、明治の特殊ミルクのお世話になってきました。特殊ミルクは生まれつきの先天代謝異常症等の治療に必要な治療用ミルクのことです。明治の特殊ミルクは他の供給メーカーと比較すると品目数は多く、患者さんへの供給量も圧倒的に他社を抜いています。そのお陰で多くの人が立派な社会人になって活躍しています。生まれつきの病気を早期発見して治療するという新生児マススクリーニングの社会的な課題に対して、明治は供給メーカーとしての責任を十分に果たしてこられました。先天代謝異常症等の治療に不可欠な特殊ミルクをこれまで数多く開発されてきた明治のご努力に、心から敬意を表したいと思います。

小児科医 青木 菊麿氏
小児科医
青木 菊麿 氏

新生児マススクリーニングで早期発見・早期治療

患者さんの健やかな発育のためには、マススクリーニングによる先天性代謝異常症の早期発見も非常に重要です。

写真:新生児を対象としたマススクリーニング検査で検体を機械で読み取る様子

明治グループのKMバイオロジクスでは、40年以上前から、熊本を始めとする九州3県からの委託を受け、マススクリーニングを実施しています。年間約6万5千人分という検査数は、国内第2位の規模です。

またマススクリーニングは、新しく治療法が見つかった疾患に対する新たな検査の開発にもつながっています。例えば2020年には、福岡のある子どもがライソゾーム貯蔵病(LSD)の重症型である「乳児型ポンぺ病」であることを早期発見できました。発症前に診断がなされ、すぐに専門医療機関において治療を開始できた日本で初めてのケースとなりました。

写真:スポイトを使って検査する様子

新生児と乳児の健康改善は世界的な課題であり、SDGsの目標のひとつである「すべての人に健康と福祉を」にもテーマとして含まれています。これからも明治グループは、特殊ミルクや新生児マススクリーニングなど希少疾患の患者さんに対するケアの提供を通じて、こうした課題の解決に取り組んでいきます。

そして、より多くの患者さんやご家族が健康で幸せな生活を送ることを目指して、最適な治療法の開発を加速していきます。