顔写真:塩見真紀

塩見 真紀

株式会社 明治
人財開発部 DE&I推進グループ

顔写真:村上大輔

村上 大輔

株式会社 明治
ものづくり戦略本部 ものづくり設計部 設計1G長

顔写真:仁科結花

仁科 結花

株式会社 明治
お客様相談部 関東お客様相談センターG

「育児中だから、責任ある仕事は任せられない」「若いから最新のITにも詳しいはず」―― 皆さんは、そんなふうに思ったり、言われたりしたことはありませんか?
性別や年齢、役割に対する偏った見方、「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」。本人は偏見だと思っていなくても、知らず知らずのうちに他者を傷つけたり、コミュニケーションを阻害する要因になることがあります。
明治グループは、社会に食と健康の価値を届け続けていくために、多様な人財が活躍できる風土づくりとして、DE&Iを推進しています。
その一環として(株)明治(以下、明治)は、社員に「アンコンシャス・バイアス」への気付きを促す活動に注力し、継続的に啓発動画を制作。自社の社員が出演し、職場で起こりうるシーンをドラマ仕立てで伝えることで、視聴する社員一人一人が自身の言動を振り返るきっかけにしています。
今回は、動画を企画する塩見と、動画に出演した村上、仁科に、この取り組みについて話を聞きました。

Diversity(ダイバーシティ/多様性)、Equity(エクイティ/公平性)、Inclusion(インクルージョン/包括・包摂)の頭文字をとった言葉

写真:アンコンシャス・バイアス動画のオープニング
アンコンシャス・バイアス動画のオープニング

イノベーションと企業成長のために

──「アンコンシャス・バイアス」の解消に向けて取り組もうと思ったのはなぜですか。

塩見:明治では、女性やチャレンジド(障がい者)、シニア、グローバル人財、LGBTQ+を含め、あらゆる人財の活躍を目指しDE&Iを推進しています。多様性を包括し、公平に機会を与える風土が、個々の能力を開花させ、明治らしい新たなイノベーションと持続的な企業成長につながると考えているからです。
そのDE&Iの土台づくりとして着目したのが、アンコンシャス・バイアス(以下、アンコン)でした。無意識の偏見は、知らず知らずのうちに誰かを傷つけたり、個人や組織の成長をさまたげてしまうことがあるからです。

写真:アンコンシャス・バイアス動画の施策について語る塩見

「これって思い込み?」と気付くことがDE&I実践の第一歩だと思っています。(塩見)

──社員向けにアンコンの啓発動画をつくっていますね。どんな内容ですか。

塩見:社内にありがちなアンコン事例を取り上げています。例えば「中堅の男性社員は、残業して当然」「シニア社員はITが苦手」といったものです。全国の支社や工場などから集めた事例を元に、企画チームでシナリオをつくり、現場の社員に出演を依頼して、撮影も実際の職場で行っているものもあります。よくあるアンコン発言を示しながら、よい対応例や、改善ポイントを紹介する内容です。2022年からこれまでに28本の動画を制作しています。
制作するうえで大切にしているのは、「アンコンは誰にでもある」という考えです。特定の人の問題ではなく、人間なら誰もが持ちうる傾向であることを伝えることで、「自分ごと」として受け取ってもらいやすくなると考えています。

写真:動画のワンシーン
動画のワンシーン
写真:動画のワンシーン
動画のワンシーン

社員がつくる、社員のためのアンコン動画

──村上さんや仁科さんは、なぜ動画に出演しようと思ったのですか。

写真:アンコンシャス・バイアス動画への出演経緯について語る村上

村上:私は現在、ものづくり設計の仕事をしていますが、出演当時は工場勤務でした。工場では、お客様へ高品質な商品を確実にお届けするため、厳格な安全管理とオペレーションを徹底しています。それはとても重要なことなのですが、固定した業務サイクルの中では新しい発想や改善が生まれにくくなる面もあると感じていました。アンコン動画への出演を依頼されたとき、職場に新風を吹き込むきっかけになるのではと、期待したのです。

仁科:私は、お客様からの問い合わせに対応する相談センターに勤務しています。いつも「先入観を持たずにお客様の話を聞く」ということを大事にしているので、自分自身は偏見を持たないほうだと思っていました。ですが、動画を見て初めてアンコンシャス・バイアスという言葉を知り、「もしかして私も、職場の仲間に対しては噂や印象で判断してしまっている部分があるかも?」と感じたんです。そんなときに動画出演の公募を見つけ、共感する気持ちから応募しました。

写真:アンコンシャス・バイアス動画への応募経緯について語る仁科

動画を見て初めて自分の中のアンコンに気付きました。(仁科)

──出演してみて、どんな変化を感じていますか?

村上:私は「来客へのお茶出しを、手が空いている男性社員がいるのに、忙しい女性社員に頼む上司」という典型的な役で、その時は「さすがに時代遅れでしょう」と思いながら演じました。そういう意味では、ある程度、何が偏見でどういうことがよくないのかは分かっているつもりでした。でも、終わった後にじわじわと、日常のふとした時に「そういえばこれもアンコンかも」と気付くことが以前より増え、コミュニケーションに気を付けるようになりました。

写真:村上が出演した動画のワンシーン
村上が出演した動画のワンシーン
写真:村上が出演した動画のワンシーン
村上が出演した動画のワンシーン

仁科:私は「残業している男性社員をプロジェクトリーダーに抜擢し、いつも定時で帰る女性社員をリーダーから外す」という上司役でした。動画の中ではそれだけで終わらず、「これってアンコンかも?」と気付き、コミュニケーションをとってお互いの理解を深めるところまでを演じたので、私自身、「アンコンを意識し、対話することが大事」だと学びました。その経験から、普段の業務でも誰に対しても先入観や苦手意識などを持たずに話しかけるようになりましたね。

写真:仁科が出演した動画のワンシーン
仁科が出演した動画のワンシーン
写真:仁科が出演した動画のワンシーン
仁科が出演した動画のワンシーン

村上:組織文化の進化には長い時間がかかるかもしれませんが、動画配信が継続されてきたことで、個々の意識レベルでの変化は確実に生まれていると感じます。アンコンという言葉は、今ではすっかり社内に浸透していますね。

「それ、アンコンだよね」とポジティブに話せる雰囲気も生まれています。(村上)

写真:動画を制作する際の絵コンテ
動画を制作する際の絵コンテ

塩見:3年前は「アンコンシャス・バイアス」という言葉自体が社内でほとんど知られていなかったのですが、今では9割の社員が動画を見てくれるようになり、少しずつアンコンへの理解が広がってきている手応えがあります。新しい動画を配信するたび、「このシリーズのファンです」「職場でも話題になりました」「続けてください」という声をもらうことも多く、企画チームの原動力になっています。

──アンコンの認知度を上げることができている理由は何でしょうか。

写真:アンコンシャス・バイアス動画の施策について語る塩見

塩見:明治の社員の約半数が工場勤務です。動画はパソコンで視聴しますが、工場勤務の人はパソコンを使う時間が限られていたり、一人1台パソコンが割り当てられているわけではないので、オフィス勤務に比べてどうしても視聴しづらくなります。そのため、工場勤務の人でもスキマ時間に閲覧しやすいよう、10分程度の短めの動画にすることにこだわっています。また、やはり現場から事例を募り、現場で撮影し、現場の社員に出演してもらっているのが大きいと思います。昨年度からは、動画の配信後に、各職場で動画に出てくるアンコン事例について、ディスカッションする機会を設ける新たな試みも始めています。
大切にしているのは、「決して押し付けない」「身近な例、身近な声を拾っていく」こと。できる限り現場の声をもらいながら、DE&Iの施策や、アンコンの動画制作に活かしていけたらと考えています。

すべての社員が「自分らしく力を発揮できる」会社に

──アンコンへの気付きを、今後はどのように活かしていきたいですか?

写真:アンコンシャス・バイアス動画に参加した経験を、今後どのように活かしたいか語る仁科

仁科:日々のコミュニケーションでアンコンのような違和感を覚えたら、いつでも気軽に対話できるような職場が増えていけばと思っています。お客様への応対で大切にしている「相手の思いや考えをまず聞く」という姿勢を、職場の仲間に対しても当たり前にできたら、仕事はもっとしやすくなるはずです。動画をきっかけに、DE&Iを「自分ごと」として考えるようになりました。小さなことでも、自分から動いていきたいと思っています。

村上:こまめにコミュニケーションをし、相手を理解することが大事ですよね。私は休憩時間などに周囲の人と雑談するようにしていますが、一方的に自分の話ばかりしてしまうことも……。動画出演を機に、自分の考えを押し付けるのではなく、「まずは相手の話を聞く」「相手の気持ちを想像する」ことを心がけています。会社としてDE&Iを推進することは、社員一人一人がそうした意識を持つきっかけになると思います。

写真:アンコンシャス・バイアス動画に参加した経験を、今後どのように活かしたいか語る村上

グループのノウハウを活かし、次世代育成に貢献

──DE&I推進の担当としての目標を教えてください。

塩見:目指しているのは、すべての社員が「イキイキと働けている」「自分らしく力を発揮できる」と感じられる状態です。明治の根幹である工場の社員一人一人にまでDE&Iの活動を広げ、現場の人たちが「明治で仕事ができてうれしい」と思える、やりがいある会社にしていきたいですね。これからも現場と一緒にDE&Iを進めていきます。その先に、明治らしいイノベーションと、組織の成長があると信じています。

所属・肩書は取材当時のものです。

写真:塩見、村上、仁科の写真