
藤原 麻理子
明治ホールディングス株式会社
サステナビリティ推進部 企画G
「Z世代」と呼ばれる10代の若者は、どのような価値観を持ち、大人をどう捉えているのでしょうか。明治グループは、サステナビリティ施策の一環として彼らと真剣に向き合いたいと考え、小学館の10代向けコミュニティ&メディア「Steenz(スティーンズ)」(https://steenz.jp/)とコラボレーションして動画を制作しました。現在、テーマの異なる3つの動画が、同メディアのYouTubeチャンネルに掲載されています。
動画はいずれも、10代の若者と明治グループの社員が一つのテーマについてディスカッションを繰り広げており、世代間ギャップや多様な価値観が伺える内容。企業PRではなく、本音をぶつけ合う"生のコミュニケーション"に重点を置いた動画を作ることは、明治グループにとって新たな挑戦でした。
なぜ、明治グループがこのような動画を──?プロジェクトを担当する明治ホールディングス株式会社 サステナビリティ推進部の藤原麻理子に、動画制作への思いを聞きました。

うわべだけのメッセージには共感しない
Z世代はこれからの社会を創造していく存在であり、明治グループにとっても重要なステークホルダーです。一方、当社ではサステナビリティへの取り組みをオープンに情報発信するよう努めてきたものの、Z世代に対してはまだ十分なコミュニケーションがとれておらず、課題意識を持っていました。
10代といえば、自分自身の将来について考え、社会や大人に対しても真剣なまなざしを向ける年ごろ。特にデジタルネイティブとも呼ばれるZ世代は、リアリティのない作りものや、うわべだけのメッセージには共感しません。彼らから信用や共感を得るには、私たちmeijiが自らの言葉でサステナビリティへの考えを伝える必要があるのではないか。藤原をはじめ、サステナビリティ推進部ではそう考えていました。
そんなとき、小学館の担当者から「Steenz」とのコラボレーションの話を持ち掛けられたのです。サステナビリティ推進部では、この新たな試みを10代に向けたサステナビリティ施策を実現できる機会だと捉え、「やってみよう」とプロジェクトを発足。チームで企画検討を進め、今回の動画が完成しました。

重要なのは、同じ目線に立つこと
動画制作では、10代の若者と当社の社員が同じ目線で膝を突き合わせたディスカッションができるよう、細部まで工夫を凝らしました。
中でも最も重要だったのが、ディスカッションのテーマ選定です。サステナビリティに関連してテーマを設定しても、彼らにとって興味を持つことができないものだと、同じ目線でディスカッションすることはできません。小学館の担当者を通してディスカッションに参加する若者たちの反応をヒアリングしながら、どのようなテーマなら同じ目線で話せるか、それぞれのカラーが出るかなど、さまざまな観点でテーマを練りました。
こうして設定したテーマが、「⾷事は何を⾷べるかより誰と⾷べるかだ」「やりたい仕事なら給料が低くてもやるべきだ」「環境問題は⾃分が⾏動しただけでは変わらない」の3つです。それぞれのテーマでは10代の若者たちの本音が垣間見えたり、企業で働いているからこそ伝えたい当社社員からのメッセージがあったりと、多様な価値観に触れられる内容になっています。
また、藤原から社員に動画への出演依頼をしたとき、明治グループの社員として意見を言った方がいいのか質問を受けることがありました。しかし、企業の宣伝は避け、本音をぶつけ合ってほしいというのが今回の動画制作に込めた思いであるため、出演依頼した社員にはこう伝えました。
いち個人として若者たちと向き合ってほしい
するとその思いをくみ取ってくれ、それぞれが自らの言葉で真剣なディスカッションを繰り広げてくれました。


出演動画:食事は何を食べるかより誰と食べるかだ
これまで直接コミュニケーションをとる機会がなかったことから、ニュースやデータを基に勝手に"Z世代像"を描いていました。しかし今回のディスカッションで、Z世代といってもそれぞれに考え方や夢があり、多様な価値観を持っていると実感できました。特に私が10代だった頃とは物事の優先度に違いがあり、その違いが消費やライフスタイルの変化につながっているのだと分かったことは、仕事においても大きなヒントとなりました。

サステナビリティ推進部
ESGコミュニケーションG
根岸 紀子
出演動画:やりたい仕事なら給料が低くてもやるべきだ
私が10代だった頃とZ世代でどう違うか、国籍や育った環境によって違いはあるのかなど、楽しみであるとともに話がかみ合うか不安な気持ちもありました。実際に話してみると夢があるのは同じでしたが、考えるだけでなく起業するなど行動に移していることに驚かされました。皆さんの熱量に触れ「10代っていいな」と懐かしく感じながら、「30代の今もやりたいことに向かって日々を大切に過ごそう」と気持ちを新たにする機会になりました。

コーポレートコミュニケーション部 IRG
小原 チェウォン
出演動画:環境問題は自分が行動しただけでは変わらない
私が社会人になってから受けた世の中の変化が、当たり前な時代に生きる方々との討論はどんな価値観の違いがあるか興味深く、二つ返事で出演依頼を受けました。当日は、参加者の環境意識の高さを感じた一方で、世代間のギャップは感じず、価値観の違いは人との間にあるのだと認識しました。とは言いつつ、ディスカッションの待ち時間に10代のメンバーと話していると男性がネイルやメイクをするのは当たり前で、世代による価値観の違いを多分に感じました。

グループ人事戦略部 人事戦略G
森 亮
若者が希望を持てるメッセージを
サステナビリティとは、「世の中の全ての人が未来に希望を持てるような仕組みづくり」だと藤原は考えています。今回の動画制作は、10代に未来への希望を感じてもらえるようなメッセージを伝える取り組みの一つ。今後は動画に限らず、さまざまな形で「Steenz」と連携し、10代の若者たちとコミュニケーションをとっていくことを検討しています。
また、彼らの中には、働くことそのものや企業という組織の可能性について、まだリアリティを持てずにいる人もいるでしょう。自らの将来を考える彼らに向けて、企業に属しているからこそできる仕事や、実現できることがあるのだということもメッセージとして伝えていきたい。これは、藤原やチームメンバーがいち社会人としてプロジェクトに込めた思いです。
