CSOメッセージ

写真:取締役 専務執行役員CSO 古田 純

2023中期経営計画の最終年度。日本におけるサステナビリティのフロントランナーとなるべく、取り組みを加速します。

明治ホールディングス株式会社 取締役専務執行役員 CSO 古田 純

次期中期経営計画への飛躍に向けて

明治グループは現在、食品と医薬品の事業を通じて社会課題の解決に貢献し、経済価値と社会価値を同時に高めていくことをコンセプトとする「2023中期経営計画」を進めています。本中計で定めた8つのマテリアリティに関し、2022年度の活動目標は概ね達成したといえます。特に環境分野では、カーボン・フット・プリントの算出や、酪農現場におけるGHG排出削減に対するチャレンジを開始。人権分野では、外国人労働者雇用ガイドラインの制定などにより、人権デュー・ディリジェンスの取り組みが加速しました。また、これまで取り組みが遅れていたグローバルでのサステナビリティ活動の展開について、グローバルミーティングを新しく開催するなど、海外グループ会社との連携強化を進めました。一方で、世界におけるサステナビリティの活動はより一層加速してきており、取り組みの範囲が広がるとともに、その質の高さも求められる時代となっています。
明治グループとしては、そういった世界の動きを敏感にキャッチアップし、スピーディかつ効果的に行動していく必要があります。これからの明治グループは、視点を常にグローバルに置きながら、日本におけるサステナビリティのフロントランナーとなるべく、取り組みのさらなる加速が求められています。2023年度は、「明治グループ2026ビジョン」達成に向けた最終仕上げとなる「2026中期経営計画」の策定に向けて、マテリアリティを見直すとともに、サステナビリティ活動の大きな飛躍を実現するための戦略を立案する重要な年度であると捉えています。

課題は環境関連施策の質の向上

明治グループの環境活動にとって特に重要な3つのキーワードは、「カーボンニュートラル」「ネイチャーポジティブ」「サーキュラーエコノミー」です。これらはどれも密接に関連しており、三位一体の関係といえます。その中でも現在、具体的な取り組みを強化しているのがカーボンニュートラルです。この実現には、Scope3の削減が大きな課題ですが、これは自社だけで成し得ることができないため、サプライヤーの皆さまとの連携が必要不可欠となります。2022年度は、まず自社製品がどこでどの程度のCO2を排出しているのかを把握するため、代表的な2つの商品でカーボン・フットプリントの算出を行いました。その結果、商品のバリューチェーンにおいて上流側(原材料調達)の領域で約90%のCO2が排出されていることが分かりました。つまり、原材料調達の現場でのCO2排出量削減の取り組みが非常に重要だということです。今後は、他社との協業による酪農現場でのJ-クレジットの活用拡大やカーボンファーミングといった新たなスキーム構築により、カーボンニュートラルに向けた具体的な施策の展開を検討していきます。

meijiブランドがサステナブルブランドとなるために

2021年度から、社外有識者の方々との意見交換を行う「明治グループESGアドバイザリーボード」を開催しています。社外有識者からはさまざまなご意見をいただきますが、その一つとして、「明治グループはサステナブルブランドのリーダーになって欲しい」というご意見をいただきました。サステナブルブランドとは、サステナビリティをコンセプトの中心に置いた商品や企業のブランドであり、それを、お客さまをはじめとするステークホルダーが価値として認識していただけているブランドであると理解しています。明治らしいサステナビリティを訴求した商品を展開し、それを明治グループの事業成長のドライバーとできるような具体的な戦略を検討します。

サステナビリティ経営「明治ROESG®※」の進化

企業にとって、以前のCSRは「守り」の側面が大きかったのですが、昨今は、サステナビリティという言葉に変化するに伴い、企業競争力を高めていくための「攻め」の側面が大きくなってきています。サステナビリティやESGは経営のメインストリームになりつつあり、明治グループが掲げている「明治ROESG®」はまさしくそれを体現した指標であるといえます。ESGをROEにどれだけ結び付けて事業活動を展開していくか、明治グループの真価が問われていると思います。次期中期経営計画では「明治ROESG®」をさらに進化させることで、サステナビリティ経営の高度化を目指します。

2023年6月

  • 「ROESG」は一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です