2023中期経営計画
明治ROESG®経営の実践
利益成長とサステナビリティ活動の同時実現
「2023中期経営計画」では「明治ROESG※経営の実践」を基本コンセプトに掲げています。策定にあたっては、「グローバルで社会課題解決へ貢献できる企業」を目指す方向性に定めました。これは、ステークホルダーにとっての重要性と明治グループにとっての重要性のどちらも同時に実現させる経営戦略の軸・指針となるものです。この方向性に沿って、事業戦略や財務戦略、サステナビリティ戦略を立て、実行しています。
※「ROESG」は一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。
明治ROESG®とは?
「明治ROESG」は、稼ぐ力を示すROEとESGの目標達成度、「明治らしさ目標」の3つの要素で構成されています。利益成長とESG指標の改善、さらに明治らしいサステナビリティの目標達成を同時に果たすことを目指し、「2023中期経営計画」の最上位の経営目標として掲げています。
ROEとESG指標に明治らしいサステナビリティ目標を加えた独自指標をKPIに設定
役員報酬と連動させることにより実効性を担保

ESG指標
下記5指標を設定し、取り組みはもちろんのこと、情報発信のレベルアップにも努めています。総合評価と環境にフォーカスした評価を組み合わせて、5指標を設定しました。ESGへの取り組みにもグローバルな視座を取り入れ、取り組みはもちろんのこと、情報発信のレベルアップにも努めています。
評価指標 | 設定理由 | |
---|---|---|
MSCI ESG Ratings | 米国の金融サービス企業MSCIによる、企業の公開情報をもとに算出したESG格付け | 総合評価 |
DJSI | 米国のS&P Dow Jones社とスイスの投資顧問会社のRobecoSAM社が開発したESG投資指標 | |
FTSE4Good | 英国ロンドン証券取引所グループの子会社FTSE Internationalが発表しているESG投資インデックス | |
CDP (Climate Change) |
英国に本部を置く国際的な非営利団体CDPによる、世界主要企業の環境活動に関する情報開示プログラム | 環境 |
CDP (Water Security) |
明治らしさ目標
明治グループが解決に貢献できる社会課題と、企業活動の原動力となる人財に関する6項目を設定しました。明治グループが解決に貢献できる社会課題と、企業活動の原動力となる人財に関する6項目を設定しました。社会課題の選定にあたっては、明治グループが強みを持つ分野であることを意識しました。これらにしっかりと取り組むことで、利益成長とサステナビリティ活動の同時実現が可能と考えています。
項目 | 設定理由 |
---|---|
健康寿命延伸 | 社会全体 評価 |
たんぱく質摂取量 | |
インフルエンザワクチン接種率 | |
従業員エンゲージメントスコア | 明治グループ 独自評価 |
健康志向食品、付加価値型栄養商品、超高齢化社会に貢献する商品の売上伸長率 | |
新型コロナウイルスワクチン・治療薬の開発成功と供給 |
重点課題とKPI
重点課題
- 1. 事業戦略
-
食品セグメント
- コア事業の成長力の回復
- 海外展開の強化
-
医薬品セグメント
- Meiji Seika ファルマ・KMバイオロジクスの一体運営推進(ワクチン事業の強化)
- CMO/CDMOの強化
-
全体
- 新領域への挑戦
2023中期経営計画KPIの進捗

13 ポイント
指標 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 (計画) |
2023年度目標(当初) | ||
---|---|---|---|---|---|---|
統合目標 | 明治ROESG® | 12.3ポイント | 13.8ポイント | 13ポイント | 13ポイント | |
成長性・収益性 | 連結売上高 | 1兆130億円 | 1兆621億円 | 1兆1,020億円 | 1兆800億円 | |
連結営業利益(率) | 929億円 (9.2%) |
754億円 (7.1%) |
780億円 (7.1%) |
1,200億円 (11.1%) |
||
海外売上高 | 929億円 | 1,200億円 | 1,430億円 | 1,345億円 | ||
効率性・安全性 | ROIC | 8.4% | 6.3% | 6.5% | 10%以上 | |
株主還元 | ROE | 13.5% | 10.0% | 7.0% | 11%以上 | |
配当性向 | 28% | 36.4% | 52.3% | 40% |
2023中期経営計画 セグメント別売上高・営業利益目標
食品セグメント 連結売上高・営業利益(億円)

医薬品セグメント 連結売上高・営業利益(億円)

事業戦略
食品セグメント 1 コア事業の成長力の回復
ヨーグルト・プロバイオティクス
- 既存商品の機能およびエビデンスの強化
- 新たな健康価値を持った新製品の上市
- 新領域・新市場への挑戦
ニュートリション
- スポーツ:ザバスの売上拡大
- 乳幼児用ミルク・流動食:提供価値の拡充によるシェアの拡大
チョコレート
- カカオの価値を生かした新たな領域・温度帯への展開
- サステナブルカカオ調達の推進と商品の付加価値化
- 生産体制の最適化
食品セグメント 2 海外展開の強化
中国
- 生産能力の大幅拡大
2023年度末生産能力(金額ベース)/2020年度比
牛乳・ヨーグルト 約4倍(蘇州※1能力増強、天津※2、広州※3新設)
菓子 約2倍(広州※3新設)
アイスクリーム 約2倍(上海※4新設)
- プロバイオティクス、ザバスの売上拡大
- ※12021年8月
- ※22023年1月
- ※32024年春
- ※42024年中
その他エリア
- ダノン社とのキューブタイプ粉ミルクにおける協業の強化
医薬品セグメント 1
Meiji Seika ファルマ・KMバイオロジクスの一体運営推進
(ワクチン事業の強化)
研究開発体制の連携強化
製販一体となったサプライチェーンマネジメントの強化
開発品の確実な進捗
- 新型コロナ不活化ワクチン
- 5種混合ワクチン
- デング熱ワクチン
海外展開の推進
外部連携の強化による新たな創薬モダリティの構築
医薬品セグメント 2 CMO/CDMOの強化
海外
- 既存顧客との取引拡大および新規取引の獲得
- 競争優位性の確保に向けた研究開発力の強化
- 設備投資による生産能力の増強
- 医薬品アクセス向上への対応
国内
- メドライクにおける日本向け大規模生産能力の活用
新領域への挑戦 1 免疫領域で貢献する企業へ
健康寿命延伸に向けての新たな価値の提供
- 抗老化素材の事業化
- 免疫増強の物質の創出
売上高(イメージ)


新領域への挑戦 2
外部との連携を強化し新規事業を創出
(オープンイノベーションの推進)
社内創発プログラム
- イノベーション事業戦略部を設置
- 社内公募の若手による新規事業の創発
- 外部(大企業、ベンチャー、アカデミア、コンサルなど)との連携
社外創発(明治アクセラレーター)プログラム
- 社内公募の若手を繋ぎ役としたベンチャー共創スキーム
スタートアップ/ベンチャービジネス探索
-
Big Idea Ventures「New Protein Fund 」にLP※出資
植物由来(Plant-Based)など次世代たんぱく質技術を持つ企業を探索 - リバネス社テックプランターフードテックおよびバイオテックの2領域で参加
※LP(Limited Partner)有限責任組合員
ROIC活用による経営管理体制強化
グループ全体の資本生産性の向上
- ノンコア事業の見直し、成長事業に経営資源を再配分
- 事業別の資本生産性の向上
経営管理体制強化の取り組み
-
1. 事業別ROIC管理の徹底
- 取締役会におけるBS予算
- ROIC目標の予実管理および評価の徹底
-
2. 資本コストを意識した事業運営
- ROIC構成指標を活用した投下資本の適正化
- 資本生産性の向上
-
3. 権限・責任体制の明確化
- ポートフォリオ戦略の責任者の設置
-
4. 投資評価への活用
- 設備投資、M&Aや研究開発投資における評価への活用
ROIC管理単位として事業管理区分を新たに設定
食品セグメント:10事業 医薬品セグメント:8事業

WACCを5%に設定、グループ全体で資本コストを意識した事業運営を推進
ROIC(投下資本利益率)

成長投資の継続と強固な財務基盤構築の両立
資本配分の考え方
- 営業CFの範囲内での成長投資の継続
- 成長戦略としてのM&Aの効果的実施
- 政策保有株式の30%削減(簿価ベース)
- 継続的な増配の実施、配当性向を40%まで段階的に引き上げ
- 最適資本構成の観点から自己株買いの実施を検討


サステナビリティ2026ビジョンの着実な実行
サステナビリティの考え方について、詳しくはこちらからご確認ください。
サステナビリティマテリアリティ1 こころとからだの健康に貢献
事業を通じた食生活への貢献
- 健康志向商品、付加価値型栄養商品の創出
- 健康な食生活・食文化の普及・啓発

新興・再興感染症への対応
- 新型コロナウイルスワクチンの開発・供給
- デング熱などのワクチン開発
マテリアリティ2 環境との調和
気候変動への対応
-
再生可能エネルギーの活用強化
(太陽光発電設備導入、再生可能エネルギー由来電力の購入) - SBT認定の取得(2021年度)
- インターナルカーボンプライシングの導入(2021年度)
- 特定フロン全廃の推進
プラスチック資源循環の推進
- リデュースの推進(容器包装の軽量化、紙製への変更)
- バイオマスプラ、再生プラの使用拡大
水資源の確保
- 水使用量の削減、水源保全活動への取り組み
- 水リスクへの対応
マテリアリティ3-1 豊かな社会づくり
多様性の尊重
- ダイバーシティ&インクルージョンの取り組み
人権の尊重
- 人権デュー・ディリジェンスの実施、情報開示
マテリアリティ3-2 持続可能な調達活動
人権・環境に配慮した原材料調達
- 責任あるサプライチェーンの構築(サステナブル調達アンケートの実施)
- サステナブルカカオ豆、認証パーム油、環境配慮紙の計画的な調達
ESG投資枠
3年間で300億円の投資枠を設定。2026ビジョンの実現に向け計画的な遂行を目指す。
項目 | 金額 | 主な内容 |
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CO2排出量の削減 | 130 |
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脱フロン対策 | 70 |
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プラスチック使用量の削減 | 30 |
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水資源の確保 | 30 |
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その他 | 40 |
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合計 | 300 |