CEOメッセージ

meiji にしかできない
健康価値を創造する企業へ、
さらなる進化を果たします

明治ホールディングス株式会社 代表取締役社長 CEO
川村 和夫

当社は、2018年に策定した「明治グループ2026ビジョン」の実現を目指しています。ビジョンには、創業精神の一つである「栄養報国」を原点とし、グループ100年で培った強みに新たな技術や知見を取り入れ、「食と健康」で一歩先を行く価値を創造し、グローバルに成長していくという当社グループの明確な意思を込めました。2021年からはグループスローガンを「健康にアイデアを」に刷新し、特に「健康」というフィールドでこれまで以上に大きな役割を果たしていくことを目指しています。

昨年度は、パンデミックによる生活行動の変化や、ロシア・ウクライナ情勢や円安による原材料価格やエネルギーコストの高騰により、国内のみならず世界中でさまざまな影響がありました。医薬品などの重要物資の供給が不安定となったほか、農業・酪農のグローバルサプライチェーンのリスクも顕在化してくる中で、両事業を展開する明治グループの使命を再確認しました。抗菌剤やワクチンなどの医薬品、乳幼児ミルクや流動食などの食品など、命をつなぐ製品を安定的に供給していかなければなりません。また、さまざまな健康課題を抱える現代社会の中で、課題解決に直結する栄養食品・医薬品を提供していくことも私たちが果たすべきことです。

これらの明治グループの使命を踏まえ、「2023中期経営計画(2023中計)」の最終年度となる本年度は次期中計に向けた助走期間として、以下の取り組みに注力していきます。
一つ目は、事業成長力の回復です。食品では、コストアップに確実に対応するとともに、商品の付加価値を高めていきます。また、構造改革にも取り組み生産体制の効率化と収益基盤の強化を目指します。医薬品では、パンデミックを背景に需要が高まっている感染症領域で、新規ワクチンの開発・上市に取り組みます。

二つ目は、次の成長ドライバーの育成です。食品では、中国をはじめとした海外展開を加速させます。医薬品では、新規医薬品の開発を着実に進展させます。また、食と薬のシナジー創出に向けて研究開発に取り組んでいる「ウェルネスサイエンスラボ」では、オープンイノベーション強化による新規領域の開発も進めていきます。
三つ目は、「2023中計」で最上位の目標として掲げた「明治ROESG®」のさらなる進化です。この指標は、収益力を示すROEとESGを融合したもので、当社グループが創出する価値を、財務価値(経済価値)と非財務価値(社会価値)の両面から評価し、グループ一体となってサステナビリティ経営がより深化していくことを狙いとしています。今後はサステナビリティと事業の融合(トレードオン)を強化し新事業の創出も目指していきます。同時にそれを実現する経営基盤を強化するため、人財や知財などのマネジメントにも注力していき、持続的な企業成長を目指してまいります。

今後も皆さまからの一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2023年6月

「ROESG」は一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。