CEOメッセージ

meiji にしかできない
健康価値を創造する企業へ、
さらなる進化を果たします

明治ホールディングス株式会社 代表取締役社長 CEO
川村 和夫

当社は、2018年に策定した「明治グループ2026ビジョン」の実現を目指しています。ビジョンには、創業精神の一つである「栄養報国」を原点とし、グループ100年で培った強みに新たな技術や知見を取り入れ、「食と健康」で一歩先を行く価値を創造し、グローバルに成長していくという当社グループの明確な意思を込めました。その実践にあたっては、3年ごとの中期経営計画のなかで各種施策や目標を掲げ、着実に目指す姿に近づくよう努めています。
2021年には、「2023中期経営計画(2023中計)」を推進するために、「健康にアイデアを」というグループスローガンを策定しました。私は、これからの企業社会で成長し続けるためには、単においしい、栄養が豊富、だけではなく、サステナビリティを軸とした自社の存在意義や経営の考え方を明確に打ち出し、さまざまなステークホルダーから共感を得ることが不可欠と考えています。そこでスローガンでは "「健康」をキーワードに、グローバルな社会課題の解決に貢献する商品・サービスを提供していく"という当社グループの経営の方向性をより明確に、端的に示しました。
幸い、最も身近なステークホルダーであり、価値創造を担う当事者である従業員からは、「食品や医薬品を展開するmeijiらしいスローガン」という声が多く寄せられており、グループの一体感の醸成にも役立っていることを感じています。
このスローガンを単なる意思表明や合言葉にせず、"meijiにしかできない、meijiらしい健康価値"をしっかりと意識しながら、新たな価値創造に挑戦していきます。

2021年から開始した「2023中計」では、最上位の経営指標として「明治ROESG®」を掲げています。この指標は、収益力を示すROEとESGを融合したもので、当社グループが創出する価値を、財務価値(経済価値)と非財務価値(社会価値)の両面から評価し、グループ一体となってサステナビリティ経営がより深化していくことを狙いとしています。
私は、明治グループが提案する健康価値は、人々の健康志向に応えるのみとならず、高齢化や貧困といった社会課題の解決に不可欠な価値と考えています。サステナビリティ経営の推進は必ずROEの向上につながると確信しています。「明治ROESG®」を社内に浸透させ、食品・医薬品の健康価値を高め、「2023中計」を通じて結果を示すことが経営者としての責任です。

年度ごとに「明治ROESG®」を高めつつ、長期的に「明治グループ2026ビジョン」を実現していくために、現在、注力している5つのテーマについてお話しします。
一つ目は、明治グループの新たなマネジメントスタイルを確立することです。明治グループでは従来、食品と医薬品の事業特性の違いから、事業会社ごとに成長投資などを判断していました。今後、食・薬事業間のシナジー創出も含めた競争力のあるポートフォリを形成していくためには、明治ホールディングスがグループ全体のポートフォリオマネジメントを主導する必要があります。そこで「2023中計」からは、ROIC(投下資本利益率)を共通指標とし、資本生産性を重視した経営管理を実施しています。
二つ目は、自前主義から脱却し、「健康」「栄養」を基軸としたオープンイノベーションをより積極的に推進していくことです。医薬品領域では、2021年度に取り組みを加速させるため、研究所の統廃合に踏み切り、オープンイノベーションを通じた新規の研究開発テーマが以前より拡充しました。食品領域では、国内外の研究機関とのオープンイノベーションを積極的に活用して、広範な最新知見を収集していきます。
三つ目は、ガバナンスの強化です。コーポレートガバナンスはあらゆる企業活動の根幹であり、体制強化はステークホルダーとの信頼関係の強化につながります。こうした認識のもとに、ステークホルダーとの対話を通じて不断の見直しと強化を図ります。
四つ目は、グループ経営体制の強化です。当社グループはこれまで、チーフオフィサー制の導入やグループ戦略会議の設置など、グループマネジメント体制を強化してきました。今後も、明治ホールディングスの取締役会と事業会社の一体経営を推進していきます。
五つ目は、人財マネジメント改革です。当社グループは、中長期の成長戦略に沿った人財戦略を立案・実行していくために、2022年4月に「グループ人財委員会」を立ち上げました。この委員会を中心に、今後、人財ガバナンスの確立、グループ経営を支える中核人財の育成、ダイバーシティ&インクルージョンを前提とした組織風土の確立、従業員のパフォーマンスを向上させる健康経営などを推進、強化していきます。

明治グループは、「明治グループ2026ビジョン」の中で、「事業ビジョン」「サステナビリティビジョン」「事業基盤ビジョン」を掲げ、三位一体での経営による持続的な成長を目指しています。定性・定量目標の進捗を見ると、まだまだ強化していかなければならないことは多くあります。ビジョン実現のための第2ステップと位置付ける「2023中計」は今年3年目を迎えます。先行き不透明な状況も続いていますが、機会とリスクのバランスを常に念頭に置き、短・中・長期という軸を持った施策を着実に実施し、明治グループの持続的な成長を実現してまいります。

2023年1月

「ROESG」は一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。