CFOメッセージ

写真:取締役専務執行役員CFO 塩﨑 浩一郎

ROESGとROICによる経営管理を強化し、
成長分野に経営資源を集中します

明治ホールディングス株式会社 取締役専務執行役員 CFO
塩﨑 浩一郎

ROIC定着とIFRS 導入によってグローバルで戦える収益力を追求

「2023中期経営計画(2023中計)」では、ROESGとROIC(投下資本利益率)を目標指標として導入しています。ROESGは、ROEとESGを同時に追求して企業価値を高めていく考え方で、なかでもROEを向上させることがCFOである私の大きなミッションです。また、ESGに関しても投資枠を設けて適正に管理し、取り組みを後押ししていきます。
「2023中計」は、注力すべき事業を明確にするとともに、その事業に経営資源を集中することで、さらなる成長を目指しています。これまでは営業利益を重視してきましたが、ROICを指標として加えることで投資効率を意識した事業運営に進化させます。さらに、経営層だけではなく、管理者層や現場の従業員も自らの業務がROICを構成する何の要素に関係し、どうすれば事業の効率性が上がるかを理解できるような仕組みを構築します。具体的には、事業単位ごとのROICとその構成要素の変化を報告し、改善点への示唆を与えます。そして、その後の取り組みの成果を定点観測してフィードバックします。このようなPDCAサイクルを、ホールディングスと事業会社、あるいは管理部門と事業部門との間に根付かせることで、現場が常に会社全体を意識しながら業務改善に取り組む文化を築いていきます。
また、国際会計基準IFRSの導入も計画しています。「海外市場での成長基盤の確立」は、「明治グループ2026ビジョン」で掲げた重点方針の一つです。現在の海外売上高比率は10%以下ですが、グローバルな企業グループを目指す上でIFRSの導入は避けては通れません。IFRSの会計基準と管理体系を取り入れることで、海外の強力なライバル企業と同じ土俵で戦っていくのだという意識も根付かせたいと考えています。

成長領域に果敢に投資する一方、資本配分の最適化も推進

ROIC導入のもう一つの狙いは、ROICをグループの共通言語として浸透させ、事業ポートフォリオを継続的に見直すことでもあります。明治グループは食品と医薬品という特性の異なる事業で構成されていますが、現時点では共通のWACC(加重平均資本コスト)として5%を設定し、選択と集中を進めています。
両COOには、当社事業とのシナジーが将来にわたって限定的であり、当社傘下であるよりグループ外の方が価値を発揮できる事業やグループ会社がないか、常に見直してほしいと要望しています。一方、グループ全体では、成長が期待できる事業に対して果敢に資本を投下していきます。現在では、必要に応じて、さらなる投資を実行できるだけの調達余力を持ち合わせています。
さらに財務面でも「攻め」と「守り」のバランスをとり、企業価値を創造し続けられる経営を追求します。「2023中計」では、3カ年で約4,000億円の営業キャッシュ・フローを創出する計画です。その根源となるのは、やはり売上成長です。両セグメントの営業キャッシュ・フローを注視しながら、財務規律を保ちつつ、売上成長のための財務戦略を実行していきます。
加えて、資本配分の考え方も見直しています。政策保有株式は、コーポレート・ガバナンスと資本効率の観点から、簿価の3割を縮減する方針です。配当は「2023中計」期間中、配当性向40%という目標を掲げており、段階的に引き上げていきます。自己株式の取得も、最適資本構成や資金余力などを勘案し、今後も継続的に検討していく考えです。

2023 中期経営計画 財務戦略および資本配分の考え方

イラスト:中期経営計画期間の資本配分の考え方を示したグラフと表。営業キャッシュ・フローと、設備投資、株主還元の3年間累計額に加え、設備投資の内訳を掲載しています。
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