人権

人権に関する目標 人権の尊重

貢献するSDGs

8働きがいも経済成長も 10人や国の不平等をなくそう 17パートナーシップで目標を達成しよう

明治グループサステナビリティ2026ビジョン
活動ドメイン

社会

人権に関する目標

  • 【】内はKPIの対象範囲
  • 明治G:明治グループ
サステナビリティ活動KPI
(2021年度から)
実績 達成目標
2021年度 2022年度 2023年度
国内グループ全従業員に対する人権教育(e-learningを含む)の実施【明治G国内連結】 1回実施(対象人数:約13,000人/受講率:90%) 1回実施(対象人数:約13,000人/受講率:92%) 1回/年以上
海外グループ全従業員に対する人権教育(e-learningを含む)の実施【明治G海外連結】 対象人数:約770 人/受講率:99% 対象人数:約2,200人/受講率:84% 1回以上

人権の尊重

人権に対する考え方

明治グループは「企業行動憲章」において人権の尊重を掲げ、すべての人が生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等であることを強く認識して企業活動を営んでいます。今後も人権尊重の取り組みをグループ全体でいっそう推進し、その責務を果たしていきます。

企業行動憲章

グループ人権ポリシー

明治グループは国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえ、国際人権章典やILOの中核的労働基準、OECD多国籍企業ガイドラインなどの人権に関する国際規範を支持・尊重します。
医薬品事業に関しては「ヘルシンキ宣言」の倫理原則や医薬品規制調和国際会議(ICH)のガイドラインなどを尊重します。
また、特に食品事業と関わりのある子どもの権利については、ユニセフの「子どもの権利とビジネス原則」を尊重します。2020年には、菓子およびアイスクリームに関するマーケティングにおける子どもへの配慮について示した「明治グループ子ども向けマーケティングポリシー」を制定しました。2022年度は、子どもの権利について社内関係者の理解を深めるための取り組みを計画しています。

人権マネジメント体制

明治グループでは、明治ホールディングス(株)の社長の命を受けて同社の取締役であるCSO(Chief Sustainability Officer)が人権課題に関する対策の責任者を務めます。またCSOによる監督のもと、明治ホールディングス(株)のサステナビリティ推進部がサステナビリティの主管部署として、各対策の実行を主導します。
人権を含む明治グループのサステナビリティ活動全体を統括する組織として、明治ホールディングス(株)の経営会議の下に「グループサステナビリティ委員会」を設置しています。2019年7月には、明治ホールディングス(株)のサステナビリティ推進部を事務局として、関連部署と社外の専門家から構成される「グループ人権会議」を設置し、人権デュー・ディリジェンスを開始しました。「グループ人権会議」の下には、テーマごとに分科会を設置し、人権課題の調査、対策立案、予防に関する取り組みを進めています。明治ホールディングス(株)の取締役会は、これらの活動について定期的に報告を受け、活動プロセスと対策の有効性について監督を行っています。

イラスト:人権に関する体制の図。グループサステナビリティ事務局会議の下にグループ人権会議を設置。明治ホールディングスおよび3事業会社のサステナビリティ部門および人事部門の担当で構成されています。

また明治グループでは各職場に、ブランドプロモーションおよびサステナビリティに関する知識・理解の浸透を担う「meijiブランド推進責任者」および「meijiブランド推進リーダー」を設置しています。「meijiブランド推進リーダー」(約840人)は、各職場内における人権を含むサステナビリティ情報の周知や意識醸成を促します。「meijiブランド推進責任者」(約290人)は、「meijiブランド推進リーダー」が推進する活動の監督、指導を行います。明治ホールディングス(株)のサステナビリティ推進部では、「meijiブランド推進責任者・リーダー」を対象として定期的にオンラインフォーラムやセミナーを開催し、人権を含むサステナビリティ活動の浸透を図っています。

人権デュー・ディリジェンスの実行

2019年度から開始した人権デュー・ディリジェンスは、「明治グループ人権ポリシー」に基づいた、人権に対する私たちのコミットメントです。明治グループの企業活動における人権への負の影響評価および課題の特定、評価結果の社内プロセスへのフィードバックおよび適切な措置の実施、対処が適切かの追跡評価、適切な情報開示を行い、外部ステークホルダーとのコミュニケーションを図る継続的なプロセスです。この一連のプロセスを循環させて、人権の尊重と持続的な事業の実現に向けて取り組んでいきます。

イラスト:人権デュー・ディリジェンスのプロセス図。影響評価、適切な措置の実施、追跡調査、適切な情報開示のフローを表しています。

顕著な人権課題の特定

2022年度には、2019年度に特定した顕著な人権課題の見直しを行いました。食品と医薬品それぞれの事業領域のバリューチェーン全体における人権リスクを抽出し、外部からの客観的な視点を入れて、明治グループの顕著な人権課題を特定しています。

特定された顕著な人権課題
イラスト:顕著な人権課題をまとめた図。研究・開発においては、情報のアクセス、プライバシーの権利。調達・製造においては、児童労働、強制労働、地域住民の健康な生活、水へのアクセス。販売・物流・消費においては、マーケティングによる子どもへの影響の考慮、顧客・利用者の健康。廃棄においては、地域住民の健康な生活、水へのアクセス。全行程に関わるものとして、差別、ハラスメント、結社の自由および団体交渉権、公正な労働条件および賃金、労働安全衛生、労働時間、外国人労働者の権利。
顕著な人権課題 影響を受ける主なステークホルダー
差別とハラスメント 従業員、サプライヤー、顧客、地域住民など
ジェンダー平等 従業員、サプライヤー、顧客、地域住民など
児童労働 自社およびサプライヤーの従業員
強制労働および人身取引 自社およびサプライヤーの従業員
結社の自由、団体交渉権 自社およびサプライヤーの従業員
公正な労働条件および賃金 自社およびサプライヤーの従業員
労働安全衛生 自社およびサプライヤーの従業員
労働時間 自社およびサプライヤーの従業員
外国人労働者の権利 自社およびサプライヤーの従業員
地域住民の健康な生活、水へのアクセス 地域住民
広告・マーケティングによる子どもへの影響 顧客・消費者
顧客・利用者の健康 顧客・消費者
情報へのアクセス (ヒト由来)原材料の提供者
プライバシーの権利 従業員、臨床試験の被験者、顧客など

リスク評価とリスクの緩和・是正に向けた取り組み

2022年度に実施した人権リスクの緩和・是正に関する主な取り組みは以下の通りです。

項目名 リスクの概要と緩和・是正策
1. 外国人労働者の労働環境の改善
  • 2021年度に実施したヒアリング結果より、外国人労働者の雇用や労務管理について事業所ごとに対応方法や意識にばらつきがあるという課題が明らかになった。また、職場における外国語表示への対応が不十分なケースがあった。
  • 外国人労働者の雇用や労務管理について、グループ内で最低限留意すべき共通の事項をまとめた「外国人労働者雇用ガイドライン」を2022年に制定。自社グループ関係者および協力会社を対象とした説明会を開催し、ガイドラインの周知・浸透を図った。
2. サプライチェーン上のリスク低減
  • 2021年度に行ったサプライヤーおよびグループ会社への調達アンケートの結果から、人権について基準点以下のサプライヤー、グループ会社が明らかになった。
  • 人権リスクの高いサプライヤーおよびグループ会社と、個別に対話の機会を設け、改善に向けたエンゲージメントを行うための準備を開始。2023年度に順次、エンゲージメントを実施予定。
  • 大豆調達ガイドラインを2023年3月に制定し、児童労働や強制労働の禁止を含む人権尊重の考え方を盛り込んだ。
原材料調達
3. 従業員の人権意識の向上
  • グループ従業員への人権ポリシーの周知および人権に対する理解向上が課題となっている。
  • e-learningや集合教育による人権教育を実施し、グループ全体で約14,000人が受講。
4. 多言語対応の苦情処理システム導入
  • 既存の国内グループの内部通報窓口が日本語のみの対応であったため、外国人労働者も安心して利用できる多言語の相談窓口の導入が課題であった。
  • 2023年6月より、9カ国語で対応可能な苦情処理システムを導入。国内グループの従業員に加え、協力会社の社員も利用可能。

外国人労働者の人権リスク低減に向けた取り組み

2020年2月に(株)明治およびMeiji Seika ファルマ(株)の国内直系工場および研究所における外国人労働者の有無に関するアンケートを実施し、直接雇用の外国人労働者については雇用契約や労務管理について問題ないことを確認しました。2021年度は、外国人が就労する14事業所((株)明治の工場8拠点およびグループ会社6社)の労務管理者および現場責任者に対してヒアリングを実施し、雇用契約や労務管理の状況について確認を行いました。その結果、雇用契約および在留資格の確認、労働時間の管理などの労務管理について大きな問題のないことを確認しました。

外国人労働者に関するヒアリング実績
実施時期 ヒアリング先 ヒアリング対象者 方法
2021年度 グループ会社 6社 労務管理者 計7人、現場責任者 計6人 WEB
(株)明治の工場 8工場 労務管理者 計8人、現場責任者 計8人 WEB

一方で、外国人労働者の雇用や労務管理について、事業所ごとに対応方法や意識にばらつきがあったり、職場における外国語表示への対応が不十分といった課題が見つかりました。そのため、グループ共通で外国人労働者を雇用する際に特に注意すべき点についてまとめ、2022年6月に「外国人労働者雇用ガイドライン」を制定しました。

またグループ内や協力会社に対して雇用ガイドラインを配布するとともに、説明会を実施し、ガイドラインの周知と運用徹底に向けた要請を行いました。外国人労働者にとって健全で安心して働ける、国際基準に適った職場環境の整備を目指し、引き続き自社・自工場にとどまらず、協力社も含めてガイドラインの理解促進と運用促進を図っていきます。

<外国人労働者雇用ガイドライン記載項目>

1.外国人労働者に関する確認事項、2. 外国人労働者から応募があった場合の留意点、3. 仲介業者等の利用、4. 仲介手数料とその他の関連費用、5. 就業規則、6. 労働条件・雇用契約、7. 強制労働の禁止、8. 賃金・労働時間、9. 寮などの住居の提供、10. 相談窓口・苦情処理制度、11. 労働安全衛生、12. 健康診断、13. 研修、14. 契約終了・解雇・再就職の援助、15. 自社工場内の協力社、派遣企業とのコミュニケーション

外国人労働者向け多言語対応の相談窓口の導入

明治グループは、2023年6月から外国人労働者が多言語で利用できる相談窓口を導入しました。この窓口はJP-MIRAI(責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム)により提供されており、英語、中国語、ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、ミャンマー語、ポルトガル語、スペイン語、日本語の9言語で利用可能です。日本での生活に不慣れな外国人労働者も、安心して就労・生活することができるよう、窓口では仕事や健康、生活などあらゆる相談に対応しています。また、職場でトラブルが生じた際の内部通報制度の役割を担っており、問題解決まで必要に応じて専門スタッフのサポートを受けることができます。国内で働く明治グループおよび協力会社の従業員が利用することができます。

各国・各地域の人権尊重に関する法規制への対応

明治グループはグローバルに事業を展開していくうえで、各国で定められている労働環境や人権に関する法令を遵守し、すべての事業活動において誠実に行動していきます。

  • 英国現代奴隷法(Modern Slavery Statement 2015)

Meiji Group Modern Slavery Act Transparency Statement

現代奴隷法の透明性に関する声明2022(和訳)

  • オーストラリア現代奴隷法(Modern Slavery Act 2018)

Modern Slavery Act Statement

  • カリフォルニア州サプライチェーン透明法

California Transparency in Supply Chains Act Statement

人権尊重の啓発活動

基本的人権の尊重および差別の禁止、強制労働および児童労働の禁止、ハラスメントの禁止、安全衛生への配慮、従業員の基本的な権利の尊重など、「明治グループ人権ポリシー」に基づく啓発活動に取り組んでいます。

グループ従業員の教育

2022年度は国内全従業員(約13,000人、受講率92%)に対して人権に関するe-learningを実施するとともに、海外はタイ、シンガポール、インドの従業員(約2,200人、受講率84%)を対象に人権教育を実施しました。教育の中では、明治グループ人権ポリシーの解説を行うとともに、児童労働や外国人労働者の人権など日常業務と関連する人権課題について説明を行い、従業員の人権に対する意識向上とリスク低減を図っています。

ハラスメントに関する教育

職場における人権問題の1つであるハラスメントについて、全従業員を対象にe-learningを実施しています。多様化する現代のハラスメント例と当社グループにおけるハラスメントの考え方を解説し、従業員のハラスメントに対する意識の向上を図っています。また、管理職に向けては、具体的な事例を通した教育に加え、ハラスメントの相談があった際の対応方法に関する教育などを実施し、ハラスメント防止に向けた取り組みを推進しています。

採用担当者に向けた教育

国内においては、全国の事業所における採用担当者に公正な採用選考に関する教育を行っており、就職差別の禁止、ハラスメントの禁止、応募者の基本的人権の尊重の遵守を徹底しています。また、自主的な就労の意思を尊重するとともに、事前に労働条件(従事する業務の内容、労働時間、休憩時間・休日・休暇、賃金、昇給、退職に関する規定等)を明確に提示し雇用契約書を締結することで強制労働の防止を図っています。加えて、児童労働禁止の観点から、採用時における、法に定める最低年齢を満たしていることの確認を徹底しています。