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向出 正

Me ファルマ株式会社
法人営業ユニット長

中橋 正晃

メドライク Limited
Executive Vice President, Quality

いつも薬局でもらう薬が、ある日突然手に入らなくなったら? 現在、日本の薬局で処方される薬の約8割はジェネリック医薬品です。いつも安価で、いつも同じ効き目で、いつでも手に入る。この3拍子がそろうジェネリック医薬品は、患者さんの費用負担の軽減はもちろん、医療費高騰という日本社会全体の課題解決の一翼を担っています。しかし今、薬価改定や原薬価格の高騰、品質問題や供給不安など、ジェネリック医薬品業界は厳しい環境に置かれています。

そうした中で明治グループでは、Me ファルマ、メドライク、Meiji Seika ファルマのグループ3社が連携した取り組みを進めています。目指すのは、ジェネリック医薬品の「持続可能なビジネスモデル」の確立です。

ビジネスとして成り立たなければ意味がない

「流通不安が毎日のように業界誌に載るくらい、医薬品の安定供給は喫緊の課題です。」Me ファルマで法人営業ユニット長を担う向出は言います。Meiji Sikaファルマの100%出資のジェネリック医薬品販売会社として2016年に設立したMe ファルマは、大手調剤薬局に安価で良質なジェネリック医薬品を安定して供給しています。

扱う製品は13成分(2023年5月からは31成分に拡大)。100品目以上扱う大手ジェネリックメーカーに比べてかなり少ないものの、少品種を自社で大量生産することで、流通を安定させると同時にコスト削減を実現しています。向出は語ります。「大切なのは、市場の変化をうまく捉え、小回りを利かせて活動していくことです」。実際にMe ファルマでは、自社生産比率が高いため、市場の需要に合わせて必要な品目を迅速に増産するなどの柔軟な対応ができます。そして、それを可能にしているのが、Meiji Seika ファルマの子会社であるインドの製薬メーカー、メドライクです。

営業戦略での工夫はもちろんですが、メドライクと連携する独自のビジネスモデルによって、しっかりと持続的に利益を出せるビジネスモデルが確立しつつあります。

安定供給を確保するために、まずはビジネスとして成立させなければならない、向出はその使命感に駆られています。

利益を出せるビジネスモデルの核

メドライクはインドに5つの工場を持ち、その年間生産能力は115億錠以上。海外の大手製薬メーカーからの受託製造も担っています。この充実した生産能力が、利益創出の源泉となっています。1973年の創業から長年にわたって実績を積み重ね、2015年に明治グループに参画。ユニット7(セブン)と呼ばれる工場で日本向けのジェネリック医薬品を製造しています。

Meiji Seikaファルマからメドライクに出向している中橋は語ります。「メドライクでは、原材料調達をなるべくインド国内で完結できるようにしています。しかし、日本向け製品の原材料の多くは現状、まだ日本から調達しています。さらなるコスト削減・利益創出のために、少しずつ現地からの調達に切り替えていく予定です。」

品質にかける思い

医薬品製造においてもう一つ重要なのが品質確保です。複数国に医薬品を提供してきたメドライクでは、各国の規制やそこで得た知見を全社の品質基準に反映するなど、品質の確保と向上に努めてきました。

メドライクは常に、お客さまと品質を第一に考えてきました。誰もがプロフェッショナルとしての自覚と緊張感をもって切磋琢磨せっさたくましています。

Joju Joseph
Vice President, Technical
Medreich Limited

明治グループとの連携開始当初からユニット7の全業務を統括するメドライクのJoju Josephは語ります。「日本の基準は薬の外観に対する要求が厳しい点が特徴です。最初は戸惑いもありましたが、厳格な品質管理システムをベースとして、常に向上心を持ってさらなる高品質を目指して取り組んだ結果、今では、日本のどんな要求にも対応できるチームになったと自負しています。」

中橋は語ります。「万が一に備えることも非常に重要です。品質になんらかの問題があった場合、いかに早く原因を見つけて再発しないようにするか。万が一生産を止めた場合も、どれだけ早く再開できるか──。品質と安定供給を維持するために、常日頃から、そういった備えをしておくことが大切です。」

市場への提供──meijiブランドを活かして

「聞いたこともないし実績もないMe ファルマの製品を信用していいのか、最初のころは営業先のドラッグストアからそんな声も聞きました。」向出は語ります。「一方で、同じ店舗のお菓子や粉ミルクなど食品セクションではmeijiブランドが確固たる信頼を得ています。グループとしてそのブランド力を活かし、門前払いだった営業先への製品導入につなげたこともあります。さらに、薬剤師さんが患者さんに製品説明をする際にも、meijiのロゴがあることで、品質への安心感を持ってもらえていると聞いています。」

必ずやゆるぎないビジネスに育て上げる

2023年、Me ファルマはビジネス規模の拡大を予定しています。向出は語ります。「Me ファルマの認知度も少しずつ高まり、メドライクとの連携によるビジネスモデルへの期待も感じています。営業部門としては、お客さまの需要に応えながらしっかりと利益を出し、明治グループを支える会社へと成長していきたいと思います。」

日本向け製品の製造が軌道に乗ったメドライクで、中橋はすでに次のステップを見据えています。「今はまだ、Meiji Seikaファルマからの駐在員が、品質や製造について提言し、現地に落とし込むことが多いですが、meijiブランドとしてのクオリティカルチャーをメドライクでももっと広く理解してもらい、一人一人が認識してくれるようになると嬉しいですね。」

価格と品質、安定供給の3拍子がそろわなければならないジェネリック医薬品事業。すべての条件を満たせるビジネスモデルを確立するために、明治グループの海を越えた連携と挑戦はこれからも続きます。