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この抗生物質でなければ、対抗できない菌がある。だからこそ『メイアクト』を絶えず進化させる。

1994年に発売され、Meiji Seika ファルマを代表する医薬品の一つである抗生物質『メイアクト』。
さまざまな感染症の治療に用いる抗生物質であり、
発売から四半世紀以上経ったいまもなお、医療の現場から大きな支持を得ている。
なぜ『メイアクト』はこれほどまでに厚く医療従事者からの信頼を得たのか。この薬にまつわる3人のストーリーを追う。

phase01

抗生物質を究めてきた研究開発力が、
意外な効果を持つ『メイアクト』を生んだ。

Meiji Seika ファルマを語るうえで、欠かすことのできないキーワードが「抗生物質」だ。
カビなどの微生物によって作られ、細菌など他の微生物の発育を阻害する抗生物質は、20世紀における最大の発見の一つとも言われている。世界で初めて発見された抗生物質である「ペニシリン」は、医療に革命を起こし、それまでペストやチフスなどの感染症に苦しんでいた多くの人々の命を救ってきた。1946年、国産初の「ペニシリン」の開発製造に成功したメーカーの一つが旧明治製菓であり、それがMeiji Seika ファルマの原点である。以降、1950年には結核治療薬『ストレプトマイシン』を、1958年には海外でも広く使用された国産初の抗生物質『カナマイシン』を発売するなど、独自の技術で“感染症の明治”としての地位を築き上げてきた。
そして、さらに幅広い細菌に有効な抗生物質として1994年に発売されたのが『メイアクト』である。当時、『メイアクト』の開発プロジェクトに携わり、現在は臨床開発企画部の専任部長を務める髙橋はこう振り返る。

Meiji Seika ファルマを語るうえで、欠かすことのできないキーワードが「抗生物質」だ。
カビなどの微生物によって作られ、細菌など他の微生物の発育を阻害する抗生物質は、20世紀における最大の発見の一つとも言われている。世界で初めて発見された抗生物質である「ペニシリン」は、医療に革命を起こし、それまでペストやチフスなどの感染症に苦しんでいた多くの人々の命を救ってきた。1946年、国産初の「ペニシリン」の開発製造に成功したメーカーの一つが旧明治製菓であり、それがMeiji Seika ファルマの原点である。以降、1950年には結核治療薬『ストレプトマイシン』を、1958年には海外でも広く使用された国産初の抗生物質『カナマイシン』を発売するなど、独自の技術で“感染症の明治”としての地位を築き上げてきた。
そして、さらに幅広い細菌に有効な抗生物質として1994年に発売されたのが『メイアクト』である。当時、『メイアクト』の開発プロジェクトに携わり、現在は臨床開発企画部の専任部長を務める髙橋はこう振り返る。
「私は臨床開発の段階から参加し、患者さんへの治験から当局への申請まで、医薬品として世の中に送り出す一連のプロセスに関わりました。実は『メイアクト』は、我々が臨床試験データをまとめ上げた後に、想定もしていなかった新たな耐性菌に対しても効果があることが判り、大いに注目されることになったのです」。
医療の世界では、病原体となる細菌が抗生物質に対して抵抗力を持ち、従来の薬剤が効かなくなるケースがある。当時、それまで有効だったペニシリンにも耐性を持つ細菌が現れてきており、医療関係者の間で問題視する声が上がりはじめていた。そして『メイアクト』の承認申請時、厚生省から要請されてその耐性菌への効果をあらためて検証したところ、きわめて有効であることが判明。まさに救世主的な抗菌薬として世の中に送り出された。髙橋は語る。
「『メイアクト』がその耐性菌に対して有効だったのは偶然の産物かもしれませんが、それは我々が生み出した抗生物質のそもそもの素性が良かったからこそ。長年にわたって抗生物質を扱ってきた当社の優れた研究開発力の賜物だと思っています。そして、『メイアクト』がすぐに医療現場に受け入れられたのは、承認後のMRの努力も大きい。当時、類薬のなかでも耐性菌に対して優れた抗菌力を有する薬を、一刻も早く患者さんのもとに届けなければと、現場のMRたちが医師の方々とたびたび研究会を開催し、懸命に臨床データを収集。短期間でこの薬の価値を証明して情報提供したことで、瞬く間に全国の医療機関で使っていただけるようになりました」。

「私は臨床開発の段階から参加し、患者さんへの治験から当局への申請まで、医薬品として世の中に送り出す一連のプロセスに関わりました。実は『メイアクト』は、我々が臨床試験データをまとめ上げた後に、想定もしていなかった新たな耐性菌に対しても効果があることが判り、大いに注目されることになったのです」。
医療の世界では、病原体となる細菌が抗生物質に対して抵抗力を持ち、従来の薬剤が効かなくなるケースがある。当時、それまで有効だったペニシリンにも耐性を持つ細菌が現れてきており、医療関係者の間で問題視する声が上がりはじめていた。そして『メイアクト』の承認申請時、厚生省から要請されてその耐性菌への効果をあらためて検証したところ、きわめて有効であることが判明。まさに救世主的な抗菌薬として世の中に送り出された。髙橋は語る。
「『メイアクト』がその耐性菌に対して有効だったのは偶然の産物かもしれませんが、それは我々が生み出した抗生物質のそもそもの素性が良かったからこそ。長年にわたって抗生物質を扱ってきた当社の優れた研究開発力の賜物だと思っています。そして、『メイアクト』がすぐに医療現場に受け入れられたのは、承認後のMRの努力も大きい。当時、類薬のなかでも耐性菌に対して優れた抗菌力を有する薬を、一刻も早く患者さんのもとに届けなければと、現場のMRたちが医師の方々とたびたび研究会を開催し、懸命に臨床データを収集。短期間でこの薬の価値を証明して情報提供したことで、瞬く間に全国の医療機関で使っていただけるようになりました」。

phase02

『メイアクト』をお子さまにも服用しやすい形に。
母でもある研究者、横井の挑戦。

新薬の開発は、臨床試験を完了して国から承認を得ることがゴールではない。発売された後も、患者さんや医師・薬剤師の方々の立場になって、適応症の拡大や剤形の改良、用法・用量の改善などに絶えず取り組んでいく。これは「育薬」と呼ばれ、創薬と同様に医薬品メーカーにとって重要なテーマだ。そしてこの『メイアクト』の育薬に大きく貢献したのが横井である。彼女が入社したのは、ちょうど『メイアクト』が発売された1994年。以来、薬の有効成分を投与に適した形にする「製剤設計」を専門に究めてきた。
『メイアクト』は発売以来、これまで二度、製剤に大きな改良が加えられている。最初の改良では、患者さんがより服薬しやすくするために錠剤の小型化を果たし、二度目の改良では、添加剤や味の変更が行われた。横井は、この第三世代への改良を担当した。
「第二世代までの『メイアクト』には、添加剤の一つに牛乳成分由来のものが用いられており、牛乳アレルギーの患者さんが服用できない状況でした。そこで、すべての患者さんに飲んでいただけるように添加剤を変更することに。服薬した時に以前と比べて吸収率や血中動態などが変化しない、最適な添加剤を探索するのはとても苦労しましたし、小児用の細粒剤をお子さまにも飲みやすい形にするのも試行錯誤の連続でした」。

新薬の開発は、臨床試験を完了して国から承認を得ることがゴールではない。発売された後も、患者さんや医師・薬剤師の方々の立場になって、適応症の拡大や剤形の改良、用法・用量の改善などに絶えず取り組んでいく。これは「育薬」と呼ばれ、創薬と同様に医薬品メーカーにとって重要なテーマだ。そしてこの『メイアクト』の育薬に大きく貢献したのが横井である。彼女が入社したのは、ちょうど『メイアクト』が発売された1994年。以来、薬の有効成分を投与に適した形にする「製剤設計」を専門に究めてきた。
『メイアクト』は発売以来、これまで二度、製剤に大きな改良が加えられている。最初の改良では、患者さんがより服薬しやすくするために錠剤の小型化を果たし、二度目の改良では、添加剤や味の変更が行われた。横井は、この第三世代への改良を担当した。
「第二世代までの『メイアクト』には、添加剤の一つに牛乳成分由来のものが用いられており、牛乳アレルギーの患者さんが服用できない状況でした。そこで、すべての患者さんに飲んでいただけるように添加剤を変更することに。服薬した時に以前と比べて吸収率や血中動態などが変化しない、最適な添加剤を探索するのはとても苦労しましたし、小児用の細粒剤をお子さまにも飲みやすい形にするのも試行錯誤の連続でした」。
抗生物質の原薬は苦味が強い。『メイアクト』は免疫力が弱く感染症にかかりやすい乳幼児が服用するケースも多く、味や苦みによっては子どもに薬を飲ませるのに苦労するという悩みが医療の現場やご家族から寄せられていた。そして、この味の改良には食と薬、両方扱ってきた明治だからこその強みが発揮された。横井は語る。
「明治はお菓子の研究開発も行っています。その時はお菓子の研究所と連携し、いろいろと知見を授けていただきました。苦味をマスキングする香料などについて検討を重ね、またお子さまに好まれる味として最終的には当時、お菓子の味としてブームであったバナナ味で製剤化。さらに、お子さま用の細粒は、水などの液体に混ぜて服用していただくことが多いため、懸濁性の向上も追求しました。薬を飲ませる時、なかなか懸濁しないとお子さまがぐずってしまう。実は発売当時、私自身も小さな子どもを抱え、薬を飲ませる苦労が身に染みました。ぜひ世の中のお母さん方を助けてあげたいと、いまもそんな思いで製剤設計に取り組んでいます」。

抗生物質の原薬は苦味が強い。『メイアクト』は免疫力が弱く感染症にかかりやすい乳幼児が服用するケースも多く、味や苦みによっては子どもに薬を飲ませるのに苦労するという悩みが医療の現場やご家族から寄せられていた。そして、この味の改良には食と薬、両方扱ってきた明治だからこその強みが発揮された。横井は語る。
「明治はお菓子の研究開発も行っています。その時はお菓子の研究所と連携し、いろいろと知見を授けていただきました。苦味をマスキングする香料などについて検討を重ね、またお子さまに好まれる味として最終的には当時、お菓子の味としてブームであったバナナ味で製剤化。さらに、お子さま用の細粒は、水などの液体に混ぜて服用していただくことが多いため、懸濁性の向上も追求しました。薬を飲ませる時、なかなか懸濁しないとお子さまがぐずってしまう。実は発売当時、私自身も小さな子どもを抱え、薬を飲ませる苦労が身に染みました。ぜひ世の中のお母さん方を助けてあげたいと、いまもそんな思いで製剤設計に取り組んでいます」。

phase03

有効性・安全性だけではなく、
患者さんのために飲み方まで提案していく。
MR福井の信念。

研究者たちの奮闘によって、2006年に『メイアクト』は第三世代へと進化を遂げた。その後、2012年には用法・用量の一部改訂も実施された。髙橋は言う。
「『メイアクト』は上気道感染症の起炎菌をはじめ、それらの耐性菌などにも効果がある抗生物質として評価されてきましたが、発売時から時間が経過し、そうした細菌がさらに耐性を持つようになってきたのです。医師の方々から『上気道感染症の耐性菌に対して効果が期待できる限られた薬のなかの一つ、それが『メイアクト』。より効果が期待できるように投与量の上限を引き上げてほしい』という強い要望が寄せられ、従来の投与量よりも倍量投与できるように国に申請することに。その臨床開発も私がリードしましたが、こうして世の中から切に求められる薬を手がけられるのは、まさに開発者冥利に尽きますね」。
そして、この『メイアクト』の価値を伝えるべく、現場の最前線で奮闘しているMRの一人が福井だ。
「私は新人の頃から『メイアクト』には思い入れを持って活動してきました。感染症は内科、小児科、耳鼻科などすべての科で起こりうることで、『メイアクト』はどの科の先生にもお役立ていただける。歴代の先輩方の尽力により認知度も高く、初対面の先生にお会いする時はいつも『メイアクトのMeiji Seika ファルマです』と自己紹介しています。以前、倍量投与が承認された時も、先生方にプロモーションすると『これは本当に治療に役立つ情報だね』と評価していただきました。

研究者たちの奮闘によって、2006年に『メイアクト』は第三世代へと進化を遂げた。その後、2012年には用法・用量の一部改訂も実施された。髙橋は言う。
「『メイアクト』は上気道感染症の起炎菌をはじめ、それらの耐性菌などにも効果がある抗生物質として評価されてきましたが、発売時から時間が経過し、そうした細菌がさらに耐性を持つようになってきたのです。医師の方々から『上気道感染症の耐性菌に対して効果が期待できる限られた薬のなかの一つ、それが『メイアクト』。より効果が期待できるように投与量の上限を引き上げてほしい』という強い要望が寄せられ、従来の投与量よりも倍量投与できるように国に申請することに。その臨床開発も私がリードしましたが、こうして世の中から切に求められる薬を手がけられるのは、まさに開発者冥利に尽きますね」。
そして、この『メイアクト』の価値を伝えるべく、現場の最前線で奮闘しているMRの一人が福井だ。
「私は新人の頃から『メイアクト』には思い入れを持って活動してきました。感染症は内科、小児科、耳鼻科などすべての科で起こりうることで、『メイアクト』はどの科の先生にもお役立ていただける。歴代の先輩方の尽力により認知度も高く、初対面の先生にお会いする時はいつも『メイアクトのMeiji Seika ファルマです』と自己紹介しています。以前、倍量投与が承認された時も、先生方にプロモーションすると『これは本当に治療に役立つ情報だね』と評価していただきました。先生が困っていた患者さんに対する治療の幅を広げ、少しでも役立つことができたと感じた時、この薬剤を扱えることに誇りを感じました」。
『メイアクト』はMR活動でも大きな強みになっていると語る福井。彼女もまた横井と同じく、すでに我が子を持つ身だ。まだ2歳にも満たない子どもを抱え、MRの仕事と育児を両立しながらキャリアを重ねている。
「先生方は『どんなに効く薬であっても、それを患者さんに飲んでいただかないと意味はない』とおっしゃいます。小児用製剤は特にそのハードルが高い。私自身も先日、我が子に『メイアクト』を処方してもらったことがあり、そこであらためて飲みやすい薬であることの大切さを認識しました。ですから有効性だけではなく、たとえば細粒剤をお茶やジュースに混ぜるとどんな味になるのか、より飲みやすく服用してもらうためにはどうしたらいいのか、その服薬の仕方まで先生方に提案しています。先生方からは『明治さんはお菓子も手がけているから、おいしくて飲みやすい薬にしてほしい』という言葉をいただくこともあり、これからもそんな期待に応え、困っている患者さんに寄り添った情報提供をしなければと奮い立っています」。
2017年には、添加剤および製法などがまったく同一でのオーソライズド・ジェネリックを発売。より多くの患者さんに安価に、そして安心して服用していただける新たな選択肢を提示している。世の中に送り出した優れた新薬を、医療現場や患者さんのニーズを踏まえ、絶えずさらに価値ある医薬品へと進化させていく。そうした患者さんのための「育薬」にもMeiji Seika ファルマの真骨頂が発揮されている。

先生が困っていた患者さんに対する治療の幅を広げ、少しでも役立つことができたと感じた時、この薬剤を扱えることに誇りを感じました」。
『メイアクト』はMR活動でも大きな強みになっていると語る福井。彼女もまた横井と同じく、すでに我が子を持つ身だ。まだ2歳にも満たない子どもを抱え、MRの仕事と育児を両立しながらキャリアを重ねている。
「先生方は『どんなに効く薬であっても、それを患者さんに飲んでいただかないと意味はない』とおっしゃいます。小児用製剤は特にそのハードルが高い。私自身も先日、我が子に『メイアクト』を処方してもらったことがあり、そこであらためて飲みやすい薬であることの大切さを認識しました。ですから有効性だけではなく、たとえば細粒剤をお茶やジュースに混ぜるとどんな味になるのか、より飲みやすく服用してもらうためにはどうしたらいいのか、その服薬の仕方まで先生方に提案しています。先生方からは『明治さんはお菓子も手がけているから、おいしくて飲みやすい薬にしてほしい』という言葉をいただくこともあり、これからもそんな期待に応え、困っている患者さんに寄り添った情報提供をしなければと奮い立っています」。
2017年には、添加剤および製法などがまったく同一でのオーソライズド・ジェネリックを発売。より多くの患者さんに安価に、そして安心して服用していただける新たな選択肢を提示している。世の中に送り出した優れた新薬を、医療現場や患者さんのニーズを踏まえ、絶えずさらに価値ある医薬品へと進化させていく。そうした患者さんのための「育薬」にもMeiji Seika ファルマの真骨頂が発揮されている。


  • 臨床開発企画部 専任部長

    1982年入社/農学部卒

    髙橋 誠

    入社後しばらく創薬研究に携わり、1989年に臨床開発部に異動。そこで『メイアクト』の臨床開発全般を担当する。現在は、臨床開発の計画と承認申請を担うセクションの部長を務めている。

  • CMC研究所 創剤研究室 一グループ

    主任研究員 薬学博士

    1994年入社/薬学部卒

    横井 由紀子

    入社後、創剤研究室に配属となり、以来、一貫して製剤設計に携わる。その間、業務と並行して大学での研究にも関わり、薬学の博士号も取得。『メイアクト』の第三世代の製剤設計を担当した。
    ※CMC:Chemistry(化学), Manufacturing(製造), Control(品質管理)


  • 医薬東京支店 城東営業所 医薬情報担当者

    2010年入社/文学部卒

    福井 菜月

    MRとして入社し、府中営業所で開業医を2年間担当して3年目からは病院専任に。入社6年目に出産して1年間育児休暇を取得し、2017年4月に復帰後は城東営業所で開業医を担当している。

※所属・内容は取材当時