コンプライアンス

基本的な考え方

明治グループは、自由・公正な競争および適正・透明な取引の実現のため、各国・地域の法令や社会的ルールなどを遵守します。「企業行動憲章」「明治グループ行動規範」に基づく社内規程を定め、社内教育・研修の充実を図り、コンプライアンス意識の醸成とコンプライアンス活動の推進に努めます。さらに、高い倫理観を持って行動し、社会から信頼される企業グループとして発展し続けることを目指します。

明治グループ行動規範図

明治グループの理念体系

マネジメント体制

明治グループでは、「コンプライアンス規程」や関連規程の整備、関連委員会の設置などを行い、内部通報制度の体制を整備しています。

マネジメント体制図

コンプライアンス意識の醸成に向けた取り組み

明治グループでは、「企業行動憲章」を実践するための価値観や考え方、行動基準を具体的に示し、明治グループに所属する役員・社員の一人一人に求められる行動を明確にするものとして、「明治グループ行動規範」を制定しています。「明治グループ行動規範」は英語、中国語、スペイン語、タイ語、インドネシア語に翻訳し、日本だけでなく海外社員にも周知を図っています。この「明治グループ行動規範」の理解を促進し全役員、社員のコンプライアンス意識の向上を図る目的で、各種コンプライアンス教育・研修の推進、社内啓発資料の発行、コンプライアンスアンケートなどの取り組みを実施しています。2023年度は行動規範の周知や実践を目的として、国内全グループ社員、海外グループ会社出向者を対象として教育を実施しました。

腐敗防止

明治グループは「透明・健全で社会から信頼される企業グループ」であるために、「明治グループ行動規範」において腐敗行為の禁止などについて定め、また「明治グループ腐敗防止ポリシー」を制定しています。このポリシーは日本だけでなく海外社員に向けて、英語、中国語、スペイン語、タイ語、インドネシア語、ヒンズー語に翻訳し、社内周知を図っています。また2019年5月から国連グローバル・コンパクトに参加しており、原則10に掲げられる「強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止の取り組み」に努めています。現在も、明治グループ行動規範や腐敗防止ポリシーに基づいた内容で社内研修、eラーニング、社内ポータルサイトでの啓発などを通して社員の理解を深める取り組みを継続的に進めています。国内全グループ社員、海外グループ会社出向者を対象とし、2022年度は「腐敗の定義と明治グループの腐敗防止ポリシー」「贈賄行為の発生要因とその影響および防止策」、2023年度は「インサイダー取引の禁止」をテーマとした教育を実施しました。

明治グループ腐敗防止ポリシー

明治グループでは、国内外グループ会社に対して、定期的に業務監査を実施しています。業務監査は明治グループ行動規範または腐敗防止ポリシーに規定される不正・腐敗防止など、コンプライアンス関連事項の監査も含み、直近3年間における実施率は65%になります。また、海外のグループ会社に対しては、業務監査に加えて、不正・腐敗防止を含むマネジメントリスク低減に特化した監査(以下、ガバナンス監査)を実施しています。直近3年間におけるガバナンス監査は10拠点実施しています。ガバナンス監査は明治グループ行動規範や明治グループポリシーの周知、腐敗防止、職務分離、内部通報制度、リスクマネジメントの仕組みなど、不正防止に関わる仕組みと運用を確認しており、外部専門家を活用することで監査の効率性や実効性を高めています。監査結果は、監査対象会社への通知の他、グループCEOをはじめとした関係役員および監査役、また、各事業子会社とも共有して、体制の強化と不正の防止および牽制を図っています。

コンプライアンス違反

コンプライアンス違反行為が明らかになった場合には、速やかに是正措置等を講じるとともに、当該違反行為に関与した者に対して、適切な処分(就業規則に基づく懲戒処分等)を行います。2023年度のコンプライアンス違反に対する処分件数は以下の通りでした。

コンプライアンス違反に対する懲戒処分件数(2023年度)
内訳 懲戒処分件数
汚職・贈収賄 0
ハラスメント 2
労務 3
品質 0
情報管理 0
利益相反 0
マネーロンダリングまたはインサイダー取引 0
会計不正 7
その他 6

コンプライアンス相談窓口

明治グループは、法令または「企業行動憲章」「明治グループ行動規範」の違反などの未然防止と早期発見を図るとともに、自浄力向上を目的として、役員および社員などを対象とした内部通報制度を整備し、社内窓口のほか、社外の弁護士などによる窓口など経営陣から独立した窓口を設けています。また、海外のグループ会社においては、現地の役員および社員が使用している言語で通報・相談することのできる窓口を現地に設置するとともに、日本で通報を受け付ける窓口も設けています。
明治グループは、内部通報の取扱いについて定めた規程やルールにおいて、内部通報者の不利益取扱いを明確に禁止し、また、匿名での通報も可能とするなど内部通報者の保護を図ります。通報された情報は、秘密として厳格に管理するとともに、グループ会社に設置されている各関連委員会でしかるべく報告・審議し、適切に対処します。

また、明治ホールディングス(株)の取締役会は、各事業会社のコンプライアンス体制・活動状況および内部通報制度の運用状況について定期的に報告を受け、当該運用状況を監督します。
明治グループは、コンプライアンス相談窓口が記載されたカードを社員に配付し、また、社内ポータルサイトに掲載することで、内部通報窓口の周知を図っています。2023年度はグループ全体で224件の通報・相談がありました。

医薬品企業としての高い倫理性と透明性

医療用医薬品の責任あるプロモーション

明治グループの医薬品事業は、革新的で有用性が高くより安全な医薬品の開発を通じて、世界の人々の健康と福祉の向上に貢献することを使命としています。そのため、事業活動を通じて常に高い倫理性と透明性を確保し、研究者や医療関係者、患者団体等との適切な交流や責任ある医薬品のプロモーションを行うことが必要不可欠です。

適正なプロモーション活動を行うため、日本の医薬品医療機器等法をはじめとして、医療用医薬品のプロモーションを行う各国における法規制やガイドライン等の遵守に努めています。

国内においては製薬協コード・オブ・プラクティスをベースとして自社の「コード・オブ・プラクティス」を策定し、その第ニ編として医療用医薬品製造販売業公正競争規約の考え方も取り入れた「プロモーションコード」等として遵守しています。
また、厚生労働省の「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」をベースとした「医療用医薬品の販売情報提供活動に関する規約」を策定しています。

「プロモーションコード」においては、経営陣の責務やプロモーション活動における遵守事項を明示しています。「医療用医薬品の販売情報提供活動に関する規約」では、営業部門から独立した販売情報提供活動監督部門の組織体制や役割等を明示するとともに、プロモーションに関する手順についても記載しています。販売情報提供活動監督部門がプロモーション資材の審査を行う際には、当社グループから独立した立場の外部有識者もメンバーに加わり審査を行っています。

海外においては、販売拠点があるインドネシア、タイ、スペインにおいて業界団体が制定する各国のプロモーションコードに基づいて営業活動を行っています。

医療用医薬品のプロモーションに関する社員教育と監査

明治グループの「プロモーションコード」および「医療用医薬品の販売情報提供活動に関する規約」に基づいたプロモーションが行われるよう、医薬営業部門全体へ周知することを目的に医薬営業部門全員を対象とした研修を定期的に行っています。

また「プロモーションコード」や「医療用医薬品の販売情報提供活動に関する規約」が遵守されていることを確認するため、内部監査部門による監査を定期的に実施し、プロモーション活動も含めたコンプライアンス体制と、活動プロセスの妥当性を確認しています。
医薬情報担当者が行うプロモーションについては、販売情報提供活動監督部門が営業現場へ同行して活動内容を評価する等のモニタリングや対策を行い、適正性の確保を図っています。

医薬品の安全性・責任に関する業界イニシアチブへの参加

明治グループでは、医薬品の安全性確保等を目的として、以下の業界団体に所属しています。 他企業とも連携し、医薬品の適正使用などに関する業界ルールの策定やその周知に取り組んでいます。

  • 日本製薬団体連合会
  • 日本製薬工業協会
  • 東京医薬品工業協会
  • 医療用医薬品製造販売業公正取引協議会
  • 一般社団法人 くすりの適正使用協議会
  • 一般社団法人 日本ワクチン産業協会
  • 一般社団法人 日本QA研究会
  • 一般社団法人 日本血液製剤協会

企業活動と医療機関等・患者団体との関係の透明性

研究者・医療関係者・患者団体等との交流については、全ての役員・社員を対象とした自社の行動規範である「コード・オブ・プラクティス」を各社で制定し、高い倫理性を確保するよう努めています。
さらに、事業活動が医学・薬学をはじめとするライフサイエンスの発展に寄与していること、また高い倫理性を担保した上で行われていることなどについて広く理解を得ることを目的に、自社の「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」に基づき、研究開発費や学術研究助成費等の資金提供について公開しています。

関連サイト

透明性に関する指針(Meiji Seika ファルマ(株))

透明性に関する指針等(KMバイオロジクス(株))

研究開発における倫理的配慮

明治グループは食と健康のリーディングカンパニーとして、常に新たな健康価値を皆様に提供すべく、研究活動に取り組んでいます。そして、明治グループの研究活動は、製品の品質、有効性、安全性の確保のため、法律および各省の基本方針、社内の諸規定を遵守して行われています。

ヒト由来試料の利用研究における倫理的配慮

ヒト由来試料(組織、細胞、血液、遺伝子など)や情報を利用する研究については、科学的な側面や倫理的な課題について、客観的に十分に検討した上で実施しています。また、最近ではES細胞やiPS細胞をはじめとしたヒト由来試料を用いた基礎研究、再生医療研究も急速に広がっています。明治グループでは、生命倫理や安全に十分に配慮した上で、これらヒト由来試料や情報の利用研究について、国の指針やガイダンス等を遵守して実施しています。

「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」など

動物実験における倫理的配慮

動物実験の実施に際しては、動物の愛護・福祉の観点から、動物実験に関する3Rの原則に基づいて計画を立案し、動物実験委員会の審査および機関の長による承認を必須としております。明治グループの動物実験実施体制については 、外部の機関による評価・認証を受けております。
なお、食品の商品開発においては、外部委託を含めてヘルスクレームを実証するための動物実験を行わない方針です。ただし、法的に求められ、代替試験法がない場合は、やむを得ず動物実験を行うことがあります。

動物実験に関する3Rの原則
Reduction(使用する動物数の削減)、Replacement(動物を使用しない実験への置き換え)、Refinement(動物の苦痛軽減)

バイオハザードマテリアル・遺伝子組換え生物の取り扱い

病原微生物などのバイオハザードマテリアルを安全に取り扱うため、「WHO実験室バイオセーフティ指針」等を基にした社内規程を定めています。また、バイオリスクに関する社内委員会では、バイオハザードマテリアルが適正に取り扱われるよう運用ルールを定めるとともに、その取扱い状況を管理しています。特に、感染症法※1や家畜伝染病予防法などの法令で規定されている病原体等については、社内に専門委員会を設置して、各法令に則った病原体等の取扱いを適切に管理するとともに、法令に従って必要な手続き(許可・届出)を行っています。
遺伝子組換え生物等についても、カルタヘナ法※2に準拠して適切に取扱うため、社内規程を定めるとともに、遺伝子組換え生物等の取扱いに関する社内委員会を設置しています。この社内委員会では、遺伝子組換え生物等を用いた実験がカルタヘナ法で規定された基準に合致しているか事前に確認しています。

  • ※1感染症法:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
  • ※2カルタヘナ法:遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律

人を対象とした医学系研究における倫理的配慮

明治グループは、常に新たな健康価値を皆様に提供すべく、製品の研究開発においては、人を対象とした医学系研究(治験や臨床研究)により、その安全性や有効性を確認しています。治験や臨床研究を行うには、ヘルシンキ宣言に則り、生命の尊厳および人権を尊重し、各国・地域の関連法規等を遵守し、倫理的な医学系研究を実施することが社会から求められています。
明治グループでは、人を対象とした医学系研究を行う際には、研究に参加される方の人権保護と安全性確保に最大限配慮するとともに、研究の透明性、および科学的妥当性・独立性・信頼性の確保に努めています。これらの倫理面および安全面での審査は、社内に設置した倫理審査委員会や治験実施医療機関等の治験審査委員会等にて行っています。

  • ヘルシンキ宣言:人を対象とする医学研究の倫理的原則
  • 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」など
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